2023年の西田釣船の最終回である。前回は、鬼アジの自己新記録を達成することが出来た。今回も前日情報によると、良く釣れたということなので、非常に期待していた。今回の釣行では、2つの目的があった。一つは、西田釣船初挑戦の方に、鬼アジを絶対に釣らせること。二つ目は、潮先の方が遅れずに仕掛けを投入したら、潮後(ミヨシ側)の方と、お祭りしないということの検証である。
←この日は、本当に風も無く快晴で良い天候に恵まれた。そして、釣果も良かったので、最高の今年度の最終回を楽しませてもらえた。
西田釣船で鬼アジを釣る際は、アジカブラかサビキで釣る。どちらも仕掛けの長さが6mから8mあるため、もつれないようにするBOXが必要となる。船べりにマグネットが貼ってあることが多いので、まずは、そのBOXを自分で準備出来るかが問題となる。コーナンで折り畳みのBOXとハト避けの剣山のような物を購入することで、最低限のもつれ防止のタックルが完成出来る。価格にして、それだけなら1,200円ぐらいで足りる。
←マグネット板も装備したBOXである。長い仕掛けを扱うには、必須のアイテムである。船べりにマグネットが貼ってあるなら、箱とハト避けだけで良い。マグネット板以外は、コーナンで購入出来る。
そのBOXにマグネットの板を固定的に装備するとなると、板とマグメットベルトが必要となり、更に費用が掛かる。釣行する釣船に装備が無い船もあるので、一式作って持っていることが安心に繋がる。鳴門や小豆島の鯛サビキ釣りの乗合船には、この装備が実装されている事が多い。釣り人の多い須磨の乗合船では、サービスが良い割りに、実装されている船を見たことがないのが不思議に思える。
釣行前日、西田さんと調整して、6時に岩屋港を出船することになり参加者に連絡した。その際、本日、良く釣れたこともお伝えした。当日、4:45に毛糸先生が迎いに来て下さり出発、途中、西田釣船が初めてのシェフを拾って、摩耶から高速に入り淡路SA兼出口から降りて岩屋港に5:30に到着した。暫くするとF氏も到着し全員揃った。※シェフとは、娘が学生時代にバイトしていた店のオーナーである⇒六甲道のバール コラヴェという店で、場所は、ラーメンで超有名な「繁田」の隣。フレンチの修行をされた方で、何回か店で料理を食べたが、凄く美味しかった。
この日は、2つの課題を実施するため、私とシェフを潮先のトモに座らせてもらった。右舷ミヨシにF氏、トモにシェフ、左舷ミヨシに毛糸先生、トモに私が座った。5:50ぐらいに船頭が来て船の照明を灯してもらい、各釣り座に座って準備を行った。朝イチは、真鯛狙いであった。
竿に糸を通して準備してきているので、竿を継いでサルカンをセットし、バッテリーからリールまでの電源を繋ぐと準備完了となる。後は、BOXの餌箱に鼻掛けしたエビを入れて投入を待つだけとなった。本日のタックルは、鬼アジも狙うので長い竿を使った。竿:DAIWA 極鋭真鯛360、リール:DAIWA SEABORG 200J、道糸:PE1.5号、仕掛けは、胴突き5本鈎仕掛けで、餌は活きた川津エビを鼻掛けにした。オモリは60号を使った。
初めのポイントは、港から15分ぐらいで到着した。期待の一投目、早速、毛糸先生に真鯛がヒット。40cmぐらいのベッピンさんであった。私…食いに来ているのが分かるのであるが、食い込みが悪く餌を取られるばかりであった。その後、F氏に真鯛が来たのと、私には、このポイントで鬼アジが釣れた。しかし、何となく鯛が釣れる雰囲気が感じられなかった。すると船頭が、昨日、鬼アジのポイントでは、潮が速くても釣れていたということで移動となった。
船がポイントに移動する間に、仕掛けを鬼アジ用のアジカブラ仕掛けにチェンジした。ポイントに到着してひと流し目、投入が早く出来るように、エンジンがスローになったところで、全ての鈎を水面に漂わせてオモリを握った。船頭がクラッチを切った瞬間が投入のタイミングとなる。その時、オモリを遠くに投げて投入完了となる。
トモの投入が遅れると、ミヨシ側とお祭りを起こす。その原因について説明すると下記の図のようになる。西田釣船というか明石海峡の漁師の多くが、投入時に同じパターンで投入している。船頭は、ポイントに流れて行く潮上に来たらエンジンをスローにして、投入開始場所に来たらクラッチを切る。その時点が投入の合図となる。
このタイミングでトモ(潮先)が、仕掛けを全て投入出来るかが、お祭りを起こさない鍵となる。船は、クラッチを切っても惰性が残っていて前に進むため、真下に仕掛けが下りるのではなく、船の後方に下りて行く。そのため、トモの投入がミヨシより遅れると、トモとミヨシの道糸がクロスしてしまうのである。つまり、オモリが着底した状態では、ミヨシのオモリがトモのオモリより潮先となってしまうのである。
釣っている状態では、道糸がクロスしているだけで、あまりお祭りは起こらない。仕掛けを上げる時に、どちらかの仕掛けがクロスしたところに来た時にお祭りが発生する。魚が掛かった際は、ミヨシの仕掛けが潮先なので、魚もミヨシの仕掛けに先に掛かる。魚は巻き上げる時、ぐるぐると回りながら上がって来るので、クロスしたところでトモの道糸にグルグルと巻き付き、お祭りの発生となる。
潮の速い場所での釣り経験が浅い方は、全く水中の状態を把握出来ておらず、何故、ミヨシが釣れる時にお祭りしてしまうのか、原因について理解出来ていないことが多い。トモが仕掛けの投入が遅いことが原因であることを。。。。。同じ事が何回も起こるので、原因を考えて頂きたいといつも思う。
早く仕掛けを投入するには、ちょっとしたコツがある。鈎数が多いからBOXを使うのであるが、簡単に言うと出来るだけBOXを使わないようにすることである。要は、船がポイントに上っている時、仕掛けが6本であれば4本はなびかせて、もつれないように竿と4本目の下の幹糸を手で持っておき、エンジンがスローになったら、後の2本もなびかせて、クラッチを切った時点でオモリを船の後方に投げるのである。
投入が遅い方を見ていると、一番上の鈎まできちんとBOXのマグネットに貼り付けて、下す時も一つ一つ外しながら下している。完全に船を止めて釣る乗合船ならそれでも良いが、凄く速い潮流のポイントでは、そのやり方は通用しない。そのやり方で釣るのであれば、ミヨシの釣り座に座ることが、お祭りを減らすためには大事なことである。
4人しか乗っていない船で、ミヨシなので釣れないということはあり得ない。このところ私はミヨシに座ることが多かったが、いつもトモより多く釣ることが出来た。確かに理屈では、ポイントに先に入るトモの方が、良く釣れるはずである。しかし、鬼アジ釣りでは、仕掛けがポイントに入れば、全員に当たることが多かった。船全体の釣果アップのためには、一日の中でお祭りを出来るだけ減らすことが、一番の方策である。投入が遅い方は、ミヨシに座ることで、結局、自分の釣果アップにも繋がることを理解して欲しい。
朝の鬼アジのポイントは、浅場から深場に駆け落ちるところで釣れる。ひと流し目、釣り始めの所から20m程深くなった所でゴキゴキゴキ…とアタリが伝わって来た。慌てず竿を立ててから電動のスイッチを入れた。電動の巻き上げは、始めはスローで巻き、引きが落ち着いたら少々速めに巻く。速めに巻くと、途中で暴れることが少なくなる。電動が止まったら水中を見て、上の鈎に掛かっている時は、竿を立てて丁度玉網で掬えるところまで巻く。下の鈎に来ている時は、一番上まで巻き上げて幹糸を手繰り、手前で掬う。
船頭の読みの通りとなり、移動した初めから入れ食いが始まった。何と3流し目は、私に5連が発生。初挑戦のシェフにも釣れて一つ目の課題をクリアし、全員ボーズ無しとなった。この日、私はお祭りがほぼ無しで、二つ目の課題「投入が遅れなければ、お祭りしない」ということも検証出来た。お祭りが無いので、ミヨシの毛糸先生も好調に釣れた。
潮が次第に緩くなり、何も釣れなくなってしまった。次の釣れる潮まで1時間30分あったので、一旦、岸に上がって休憩することになった。岩屋港に係留して休憩となったのであるが、何もすることが無い。餌のエビの死んだエビを捨てていると、ウマヅラ、フグ、チヌが寄って来て、捨てたエビを食べ出した。見えてるチヌは、40cmはある魚体が複数居た。
F氏が釣ってみようと、タチウオ竿に一本鈎を結んで釣ってみた。すると簡単にヒガンフグが釣れた。その後、私に交代。活きた川津エビを鼻掛けすると、水中で泳ぐ姿が見えていた。ちょっと深く下りた時、一番大きなチヌがガブっと一飲みするのが見えたので合わせると鈎に乗った。予めリールはフリーにしていたので、始めの突っ込みをかわせて取り込むことが出来た。釣果の右上の大型チヌで50cmぐらいあった。その後、シェフがウマヅラを掛けたが水面で外れてしまった。
暫くすると船頭が戻って来たところで、後半戦がスタートした。今度は、下りの潮で駆け上がりのポイントを狙った。開始した時は、潮の流れが緩く、誰にも鬼アジが釣れなかった。しかし、潮が流れ出したある流しから鬼アジが釣れ出した。不思議と下りの潮の時に釣れる鬼アジは、朝の鬼アジより一回りは大きいのが釣れた。その引きは、アジとは思えぬ凄い引きであった。
そんな中、シェフにリールが巻けない程のアタリが来た。見ていると根掛りではなく、確かに魚の引きが伝わっていた。ただ、巻けないので、諦めてスプールを押さえてハリスを切るように指示すると、凄い引きは終わった。巻き上げていると、まだ何か付いているようであった。上がって来たのは、ブリに途中まで食い込まれていたサバで、表面が白くなっていた。その後も入れ食いであったが、潮流が目茶目茶速くなり、80号でも底が釣れなくなり、沖上りとなった。
←4人の釣果。本当に良く釣れた。鬼アジだけで49匹居た。今年の西田釣船最終回は、最高の内容で終わることが出来た。来年もこんな釣果の日に巡り合いたい。(一部死んでしまった魚は、クーラーに退避済)
岩屋港に戻り、魚を締める準備をして、氷水が出来上がったところで、締め作業を開始した。まずは、前の生簀からスタート。鬼アジの型には、結構個体差があり、小は35cmぐらいから、大は50cm近い大きさであった。しかし、明石海峡でこんなに大型のマアジが居ることに驚くばかりである。平均が40cmぐらいある立派な鬼アジである。浜値で3000円するということも納得してしまう。
私が包丁で締めて、船頭が神経抜きをしてくれる。神経抜きをすると、夜までプリプリの状態が続き、噛み応えのある刺身を楽しむことが出来る。前の生簀が終わり、次は後ろの生簀から鬼アジを掬って運んでもらい締める。ああ…何時になったら終わるのか…。そんな気がするぐらい次から次に鬼アジが運ばれて来る。やっとのことで終わると、氷水を入れていたBOXが一杯になっていた。
今日も良く釣れたなあ…、帰宅してメンバに正確な匹数を確認したところ、全員で鬼アジ49匹、サバ7匹、真鯛2匹、メジロ2匹、チヌ?1匹であった。前回に引き続き、鬼アジ大漁で今年の明石海峡の釣りは、終わることが出来た。今年は、鬼アジ釣りでハズレの日は無かった。釣れない日もあったようであるが、我々が釣行した日は良く釣れた。
ここ数年、秋の鬼アジは良く釣れている。来年も釣れて欲しい。こればっかりは、自然のことなので、その時を迎えなければ分からない。この西田釣船の船釣りは、市販の仕掛けではそんなに釣れない。漁師の仕掛けを教えてもらい、釣り人用にアレンジして作って使っている。そのため、仕掛けが作れない人は、この船に乗っても沢山釣ることは出来ない。私は、自分で考案したスペックを使った仕掛けを試しながら釣っている。誰も知らないスペックで、ボコボコに釣れた時は快感を感じる。一つのパターンに拘らず、色々と試すのも楽しい。
今回は、鬼アジ最終回なので、他人にはプレゼントせず自宅消費した。3日間食べる分以外は、そのまま冷凍と燻製を作ってマイナス60度の冷凍庫に入れた。その後、「熟成」の作り方を教えてもらったので、一回チャレンジしようと思っている。刺身を、何日にもわたって食べれるのは、本当に理想である。このことは、実践したら報告したい。
次回は、一泊二日の「広島・晴光丸のウマヅラ」を予定している。前回は、不調に終わったが、最近の釣果を見ると、ちょっと良くなってきているので、期待している。