定年退職の記念品の一つに、JTBの旅行券23万円分を貰った。嫁さんの友達も定年退職時に同じ旅行券を貰ったようで、以前、その友達が旅行券を貰って旅行ばかり行っている…と言っていた。憶測であるが、大企業では定年退職の記念品に、旅行券を出すのがメジャーになっているのではないかと思う。旅行券であれば定年後の時間のある時に、嫁さんと2人で旅行出来るので、貰った側も嬉しい。
私は、以前に何回か書いたが、定年退職後に「知床観光」に行く事を決めていた。それがあの「カズワン」事故で、一旦保留するしか無い状況となった。嫁さんも9月に行くことを予定し、かなり前から休暇を取る予定にしていた。旅行券は期限が無いので知床は来年にして、今回は私が行ったことのない金沢に行くことにした。
かつて金沢に行ってみようと思い、神戸から金沢までのJRの運賃を調べたところ、格安の北海道までの航空券の方が安かったので、その時は行くことを断念した。しかし、先日JTBの旅行プランを調べたところ、安いのがあることを見つけ、近くのJTBに相談に行ってみた。すると、JRの乗車券とホテルのセットで、2泊3日で一人18,000円のツアーがあったので、行ってみることになった。
←金沢駅のシンボル「鼓門」である。能楽で使われる「鼓」をモチーブにしているらしい。
初日は、六甲道から大阪駅まで快速で行き、大阪駅9:42発のサンダーバードで出発した。途中、京都から結構お客さんが乗車して来て50%程の乗車率となった。湖西線の車窓では、琵琶湖でジェットスキーを楽しまれている方が結構居られた。北陸方面へは、かつて一日フリーチケットで敦賀まで来た事があるが、そこから先は未知の世界である。久々の敦賀駅では、既に北陸新幹線の駅がだいぶ出来上がってていた。
特急サンダーバードは、2時間40分程で金沢駅に到着した。まず向かったのは「近江町市場」である。昼食に海鮮丼を食べに行く事が目的であった。駅から徒歩で向かったのであるが、意外と日曜であったためか歩道を歩く人は少なかった。そして、近江町市場に到着。
入口から中に入ると、日曜であったためか休業している店が結構あった。この日開店しているのは、はっきり言って観光客相手の店が殆どてあった。それでも人気のある店と無い店で、待ち行列の人の数に違いがあった。夜のアテを買って帰ることもあり、市場の中を一通り見回った。
歩いてほぼ一周して思ったのが、大阪の黒門市場に似ていることであった。店の前に買った魚介類を、その場で食べれる場所があり、観光客が買った物を食べていた。これは、黒門市場で中国人観光客向けに始めたサービスである。そのスタイルが、金沢でも行われていたのであった。店に並んでいる魚介類をチェックしたのであるが、「嘘やろ…」と思うぐらい質が悪かった。特に甘えびは、神戸の自宅の近所のスーパーで売られている物より鮮度が悪かった。また、名物のノドグロも、そんなに鮮度が良いとは思わなかった。
←近江町市場の魚旨で食べた海鮮丼である。これで2,480円。食べた感想は、レベルが低いと思った。この甘えびの身を見たら鮮度が分かる。皆さんは高いと思うか、安いと思うかどっち?
昼食の後は、九谷焼の絵付けである。ホテルから徒歩10分ほどの所にあり、一旦、ホテルに荷物を預けて教室に行った。先に2人が絵付けをされていた。色々と絵付けの手順の説明を受けて作業を開始した。予め何を描くか下絵を持ってくるようにとのことであったので、私は得意な「ウマヅラ」の写真を持参した。2時間程で下絵は完成し、後日の発送を待つことになった。
この教室の先生と金沢のことについて色々と話をしたのであるが、地元の方は近江町市場では、買い物をしないらしい。北陸新幹線が出来て、観光客が増加した頃から品質が下がったと言っておられた。本当に黒門市場と同じ道を歩んだことが分かった。今や観光スポットであり、市場では無くなったのである。
この日の夕食は、あまり知られていない居酒屋に行こうと、嫁さんが調べて見つけた居酒屋「いしや」に行った。事前にいつくか料理を注文する必要があったので、地元の料理である治部煮とノドグロの酒蒸しを注文していた。店は、近江町市場よりも北の住宅街にあった。
店は、凄く綺麗な和風の建物であった。店員さんも和装で、丁寧な接客であった。料理は女将さんが持って来て、一つ一つ説明してくれた。ここで食べたノドグロの酒蒸しは、納得出来る美味しさであった。(値段もちょっと…であるが)我々より後に入店された方は、地元の方が殆どであった。この店は、値段の割には良い料理を出す店だと思った。もし、金沢に行かれるならお薦めしたい。
2日目は、金沢まで来たので富山にも行ってみようと計画していた。特に北陸新幹線に乗車することが一番の目的であった。ホテルを出発してバスに乗り金沢駅を目指した。駅まで停留所は3つであるが、徒歩ではちょっとしんどい距離がある。駅に到着して切符を買おうとしたが、ICOCAが使えることが分かり、そのまま改札を通った。
←富山の市電である。古い車両から最新の車両まで、色んな車両が走っていた。この写真の車両は、かなり新しい車両である。鹿児島と広島で同じような車両を見たことがある。
金沢から富山までは、元々JRの線路であるが、「IRいしかわ鉄道」と「あいの風とやま鉄道」を使うことになる。10:42の電車に乗車し、約1時間程で富山駅に到着した。まず向かったのは、以前の会社の取引先が入居するビルを見に行ってみた。地図で調べていたので、迷わずに行けた。「電気ビル」という名前の古いビルであった。確かにその会社が入っていることも確認出来た。
次に観光ということで、富山城に行ってみた。途中、富山市役所の前を通ったのであるが、結構、変わった形の建物であった。後で分かったのであるが、その変わったという部分は、展望台であったようだ。この3日間は、当初の天気予報とは違い、毎日好天で暑かった。歩いていると、日向では汗が出て止まらなかった。
←富山城である。兵庫県民は、姫路城を知っているので熊本城の時と同じく、何となくスケールが小さいと思った。
富山も、平日の昼間なのかわからないが、道を歩く人は少なかった。富山城を見た後、ちょっと早いが混雑を避けるため、ラーメンを食べに行った。国際会議場前からラーメン屋のある地鉄ビル前まで市電で移動した。市電のアナウンスで、電気ビル前を通る際、取引のあった会社の宣伝アナウンスが流れた。地元では有名な企業なのだと思った。
地鉄ビル前の停留所から徒歩数分で、ラーメン一心富山駅前本店に到着した。11:45ぐらいで、ほぼ満席の状況であった。しかし、ラッキーなことに何とか待たずに座ることが出来た。さて、何を食べようか…富山と言えば、ブラックラーメンが有名である。
←富山のブラックラーメンである。食べた事のある知人に聞くと、塩辛くて美味しく無かったとのことであったが、この店のブラックラーメンは、そんなに塩辛く無く美味しかった。
もし、ブラックラーメンが美味しく無かったら困るので、嫁さんはブラックラーメン、私は味噌ラーメンを注文した。暫くして両方出来上がり前に置かれた。ブラックラーメンのスープは、今まで見たことの無い黒さであった。嫁さんが一口食べて、全然塩辛く無いとの評価であった。私の注文した味噌ラーメンは、辛さが4段階選べた。初めてなので、一番辛くない味を選択したのであるが、結構ラー油も効いていて、辛さを感じる一品であった。私もブラックラーメンのスープを飲んだが、この店のスープは、ダシが効いて美味しかった。
昼食後は、富山で何もすることが無いので、新幹線で金沢に戻った。初めて乗車の北陸新幹線であったが、新幹線の種類が3種類あり、2種(「かがやき」と「はくたか」)は全席指定席で、1種(「つるぎ」)だけが自由席があった。我々は、急ぐことも無いので、自由席の「つるぎ」に乗ることにした。出発時刻まで時間があったので、駅のお土産を見て回ったが、特に新しい発見は無く、今回のお土産に買って帰るつもりであった「白えび煎餅」を買った。
出発時刻が近づいて来たので、改札を通りホームに上がり、今年の年賀状用の写真を撮った。新幹線の一番後ろで、三脚を立てて写真を撮った。そして、出発時刻となり金沢に向かった。先日、九州新幹線も乗ったのであるが、新幹線は作りが同じなのか、特に北陸新幹線の良さは感じられなかった。
金沢駅からバスに乗り、近江町市場の平日の状況を見に行った。しかし、日曜に閉まっていた店が開いて居たが、売られている物は特に変わらなかった。ガスエビだけ購入し、それ以外のアテは、金沢エムザの地下にある鮮魚店で購入した。こちらの店の刺身の方が、近江市場より鮮度も良かった。その後、一旦ホテルに戻った後、この日予定にしていた「兼六園」に行ってみた。ホテルから徒歩で10分程であったが、天気が良過ぎて暑かった。
←金沢と言えば「兼六園」である。今まで色々と庭園を見て来たが、この庭園は一番綺麗な庭園だなあと思った。
真弓坂口から入って、庭園を見て回った。今まで観光の写真で見た綺麗な風景が、そのまま自分の目に飛び込んで来た。庭園でこれだけ綺麗だと思ったのは初めてであった。流石、兼六園は日本で有名な訳をつくづくと感じた。霞ケ池の前で三脚を立てて記念撮影した。
兼六園では、やたら着物を来た若い男女を見掛けた。恐らく旅行のツアーの中にオプションが用意されているのであろう。その着物が非常に合う景色であった。この日旅行されている若い方は、嫁さんによると大学が夏休み中なので、大学生とのことであった。
2日目の夕食は、ホテルに戻る途中にあるデパート(ダイワ)の地下で、おにぎりと刺身やお惣菜を買って帰って食べた。流石にデパートなので、クオリティーは高かった。夕食を食べた後は、何もすることが無い。都会に泊まる時の暇潰しはパチンコであるが、調べてもホテルの近くに無かった。一番近いパチンコ屋を見つけて行ったが、徒歩で10分以上掛った。
金沢市は健全な街で、事前にソ〇プがあるのか調べたが市内には無かった。あったのは、片山津温泉と山中温泉であった。金沢から更にサンダーバードに乗って行かなければならない。片町辺りにキャバクラもあるようであるが、健全な街なので派手には営業してないようである。私にとっては、面白くない所であった。
3日目の予定は「忍者寺」と「ひがし茶屋街」に行くことにしていた。忍者寺は、予約してお金を払うと、寺の中を解説付きで案内してくれる。ホテル近くのバス停からバスに乗って行こうとしたが、寺の近くに止まらないバスに乗ってしまい。結構な距離を歩くハメになってしまった。
←忍者寺(妙立寺)である。案内の方に連れられて建物内を見学するのであるが、逃げる階段が至る所にあり、昔の人の知恵を感じた。説明によると、実際に敵に攻め込まれたことは無く、この寺の機能は使われなかったということであった。
30分毎に案内があり、我々は10時からの案内に参加した。初めにこの寺の由来について説明があり、その後、寺の中を一巡した。印象に残ったのが、色んな所に見つからないように作られた隠し階段であった。忍者の映画のセットを見るような感じがした。また、この寺の中には一つ井戸があり、その穴の途中に地下通路が作られていており、殿様が襲われた時に逃げれるようになっていたらしい。(寺から金沢城まで結構距離があるし、途中に川があるので、その河原までではないかとの説明であった)
忍者寺の次は、私が行ってみたかった「ひがし茶屋街」である。余り旅行で古い街並みの所に行ったことが無いので、一度見てみたかった。京都とはちょっと違う雰囲気である。今度はちゃんと、どのバスに乗れば良いか確かめて循環バスに乗車した。橋場町で降車して、ひがし茶屋街に向かった。
←これまた有名な「ひがし茶屋街」である。殆どの建物が土産物店やカフェになっていた。綺麗なままで建物が保存されているのが、素晴らしいと思った。また、本当に着物が似合う所だと思った。(べっぴんさんと2人で、着物で歩いてみたいと思った)
暫く歩くと、通りの西端に到着した。東側を見ると、観光のパンフに載っていた「ひがし茶屋街」が見えた。そんなに観光客も多く無く、綺麗な通りが見渡せた。観光で来たので一通り通りを見て歩いた後、通りにある金箔の店の見学と、カフェで一服した。ここでも三脚を立てて記念写真を撮った。
これで今回予定していた金沢観光は終わった。後は、金沢駅で高級な寿司を食べるだけである。一日目の海鮮丼が、期待する程のレベルで無かったので、昨日、富山から金沢に戻って来た時に、駅内を見回って最後に寿司を食べる店を決めていた。金沢駅行きのバスに乗車して金沢駅に向かった。車窓を見ていると、電柱に取引していた会社の広告が貼られていた。北電の関係会社なので、富山だけでなく、石川でもメジャーな情報システム会社であることも分かった。
←金沢駅で食べた最後の食事である。これが「金沢まいもん寿司」の寿司である。結構高価なセットメニューであったが、今回の金沢旅行で一番美味しかった。(この皿以外に、一本物の穴子とノドグロ2カンがセット)
店に到着したのが12:30ぐらいだったので、店の前の椅子には、5人ぐらい入店を待っていた。我々も店の前に並んでいる椅子に座って順番を待った。帰りの特急の発車時刻は、まだまだ先なので全然焦る必要は無い。10分程で店に入れた。折角の最後の食事であったので、値段は関係なく食べたい寿司を注文するだけである。
私は、4,500円程の「金沢まいもん握り」を注文した。この店では、職人の方が目の前で握ってくれ、ネタと食べ方について説明してくれた。まあ、私は釣ったり買ったりして、殆どのネタは食べた事がある。ただ、ノドグロは、塩で食べるように薦められたので、塩で食べたら確かに美味しかった。今回の旅行で一番美味しい寿司が、この金沢駅で食べた寿司ということが、一番観光地として納得出来ない記憶となった。
金沢と富山の旅、本当に近江町市場に大きな期待があったので、非常にがっかりした。北海道の事で色々と書いて来たが、やはり旅行の雑誌に掲載されている店は、驚くような感動をする所は無い。今回も嫁さんが調べて見つけた居酒屋の「いしや」が、行った店の中で一番良かった。今後、観光に行く際は、雑誌に掲載されていない店を探して行くようにする。金沢は、2度と行かない。