遂に私は、6月末日を以って定年退職することとなった。雇用延長の選択肢は勿論あったのであるが、提示された勤務地が東京ということであったので、嫁さんと相談の上、延長はしないという結論になった。専門学校を卒業して就職したのが20歳だったので、40年間社会人として働いたことになる。
大体どこの会社でも、退職日までに残っている有給休暇を消化して終えるというのが、定着していると思っている。私は、今まで事故にあったり病気で長期入院したことが無く、年間20日の有給休暇を使い果たした年は無かった。そのため毎年利用出来る有給休暇は、前年繰越と合わせて40日であった。
今回、6月末退職となるので、4,5,6月の3ヶ月間に最大40日有給休暇を取得出来る。私のように定年退職の場合、退職する日が予め分かっているので、業務の引継は、結構早めに実施して済ませた。そのため、業務の事を気にせず有給休暇を行使させてもらえる。時間が沢山あるので、その休暇の期間中に、自分への労いを込めて二回卒業旅行することを計画した。その第一弾は、行ったことの無い九州への旅である。行き先は、鹿児島⇒熊本⇒福岡に各一泊して、有名な観光地めぐりとグルメの旅である。
最初の目的地の鹿児島には、神戸からスカイマークが飛んでいる。一日二往復あるが、2便は夜なのでちょっと早い7:25発の1便を予約した。23日は、自宅を5:55に出発してJRで三宮まで行き、ポートライナーに乗り換えて、空港には6:35頃に到着した。コロナの影響も減ってきたのか、昔のように持ち物検査場には、結構沢山の人が並ばれていた。
←着陸した鹿児島空港。昔、種子島に釣行した際、乗継で一度だけ来たことがある。
7:05のアナウンスで、搭乗が始まった。スカイマークは、窓際席の方優先の考え方である。私は、今回も予約の段階で窓際を座席指定していた。そのためさっさと搭乗して、手荷物を頭上の荷物入れに収めた。今の時期、鹿児島に観光で行かれる方は少ないのか、半分ぐらいの搭乗率であった。
予定通り7:25にテイクオフ、明石海峡大橋上空を越えた所で左に向きを変えて、四国の上を縦断するコースになった。道中、四国の南ぐらいから雲があって地上を見ることが出来なくなった。その後、着陸のため降下していると、宮崎辺りから地上が見えるようになった。飛行機は予定より若干早く鹿児島空港に着陸した。
飛行機を降り搭乗口の前を通って到着ロビーへ向った。40年程前、種子島への釣行で乗り継いだ時、ここで地元の高校生が、就職のため多数の友達から見送られていたシーンを思い出した。当時、大阪や東京は、鹿児島から遠い所だったんだなあと思った。
到着ロビーを出て、次に向かったのは鹿児島市内へ行く高速バスの乗場であった。ネットで予め調べた結果、20分毎に出ていることが分かっていた。自動券売機で切符を買い、すぐに8:50発のバスに乗った。私が就職した頃、鹿児島出身の方が居て、当時は空港から市街地まで2時間ほど掛かると聞いていたが、現在は高速道路が整備され、天文館前に50分程で到着した。
地図でホテルの場所を入念に確認していたので、最短距離で直行して荷物を預けて観光をスタートした。まず鹿児島の観光と言えば、桜島に行く事である。ネットの普及で、パソコンで何でも調べることが出来る世の中である。フェリーの乗場、出航の時刻などを調べていたので、すんなりと乗場に行けて、すぐにフェリーに乗船出来た。
←鹿児島港と桜島を結ぶフェリーである。思っていたより頻繁に便がある。航行距離が短く、乗船時間は15分ぐらいであった。ビックリしたのが乗船料で、何と200円という安さであった。
待つこと10分、フェリーが出航して港を後にした。すると、すぐ前に桜島があり港が見えた。距離は短く15分程て島の港に着岸した。この後、見学に行く海釣り公園がフェリーから見えていた。下船後、徒歩で海釣り公園に向かった。流石桜島、道の側には所々溶岩が固まった岩が見受けられた。10分程で入口に到着、看板を読んだところ、見学にもお金が必要だったので、中には入らなかった。
今は機能していないが、神戸の須磨海釣り公園と比べると、スケールの小さい釣り公園であった。そのためか、入園料は200円で時間制限も無いというサービスぶりであった。入園している人は家族連れが殆どで、何かを凝って釣っている方は見受けられなかった。次にフェリーが入港する港の防波堤で、数人釣り人を見掛けたので、その状況を見に行った。
防波堤に到着すると、釣った魚をスカリに入れているのか、吊るしているロープが見えた。近くに行って海面を覗き込むと、20cm程のグレ(メジナ)が入っていた。それから1時間程の間、どんな仕掛け、餌、釣り方で釣っているのか観察した。簡単に説明すると、移動ウキを使ったカゴ仕掛けであった。特に変わっていたのが刺し餌で、アミエビとパン粉のような物を混ぜたダンゴをパチンコ玉のようにして鈎に刺していた。
ここで釣りをしている方の釣り方は皆さん同じで、違うのが仕掛けの投入点であった。防波堤のすぐ近くに投入する方、30m程投げる方とまちまちであった。私が到着した時は食いが悪かったが、暫くすると潮が動き出し、結構頻繁にアタリが出てグレが釣れていた。一番沢山釣っている人のスカリには、最大で30cm越えるグレも入っていた。
釣りの見学の後は、名産品の見学である。道の駅が近くにあり、何かお土産になる物があるか行ってみた。現在は、外国人観光客が居ないので、店の中は閑散としていた。まずは、店の中を一周して一通り品物を見た。流石鹿児島、桜島大根の商品と焼酎が沢山売られていた。特に焼酎は、有名な銘柄もあったが、調べなければ分からない銘柄が沢山あった。ここで私は、一押しで売られていた「桜島大根の味噌漬け」を購入した。
フェリーで鹿児島に戻り、この旅行初めのグルメを楽しむため、黒豚のトンカツで有名な「黒カツ亭」に行った。13時を回っていたためか、空いていてすぐに座れた。注文したのは、ロースカツとヘレカツが半分ずつの「特選カツ定食」。暫くしてその定食が運ばれてきた。店員さんが「右がロースで左がヘレです」と説明してくれた。
←黒カツ亭の「特選カツ定食」である。思わず「早く食べたい」ということが優先されてしまい、写真を撮る前に一切れ食べてしまった。
実食…まずはロース、噛むと脂がジワっと口の中に広がった。その脂にクセは無く、重さも感じなかった。とことん肉に火を通しておらず、切り口を見ると中は半生状態であった。次にヘレである。柔らかくて肉に味があった。流石黒豚!と思う一品であった。豚汁も付いていて、中には野菜や豚が沢山入っており、汁というより一品と感じる程であった。全て食べ終わった時、鹿児島の黒豚は美味しかった!と心で叫んでしまった。
昼食の後は、夕食の時間まで何も予定が無かった。事前に鹿児島の地図を見て、百貨店や有名な飲食店を調べていたので、それらの店を散策した。店を出て、近くに鹿児島最大の百貨店「山形屋」があり、地下の食料品売り場にどんな物がどのぐらいの価格で売られているのか見学に行ってみた。
百貨店と言えば、どの地域であっても高級品がそれなりの価格で販売されているという認識がある。そのため、例えば同じ魚があったとしたら、その価格で他の地域と比べることが出来る。まずは鮮魚コーナーへ…すでに調理された刺身を見てみた。神戸て売ってない魚があった。それは「首折サバ」と書かれたサバの刺身であった。良く見るとサバと言っても「ゴマサバ」であった。見たところ鮮度は抜群で800円程と価格も安かった。その他、クエやアオリイカなど神戸ではあまり見掛けない魚が販売されていた。全体的に価格は、同じぐらいであった。
山形屋を出て、その周辺の商店街を歩いた。すると一軒の鰹節屋が目に止まった。鹿児島と言えば、鰹節の産地である。血合い抜きの鰹節が販売されているか尋ねると、30分ぐらい待ってもらえば、作ってもらえることになりお願いした。プラプラと天文館の商店街を見て回って時間を潰し、鰹節を受け取ってホテルに戻った。100グラム千円だったので、かなり安いと思った。
夕食は、鹿児島中央駅近くの店を予約していた。何故この店に決めたかという理由は「一人でも黒豚しゃぶしゃぶを食べれる」からである。ネットで事前に調べたところ、有名店でしゃぶしゃぶを注文するには「2人前から」というのが、決まり文句のように書かれていた。そのため色々と調べた結果、「六百亭」では、一人でもOKということで、ここに決めた。
予約の通り18:30に入店、すぐに予約席に通され、ネットで注文していたしゃぶしゃぶで間違いないか確認された。他に一品食べたかったので、豚のタンの溶岩焼きも注文した。しゃぶしゃぶのコンロに火が着いたが沸くまでには時間が掛かり、溶岩焼きが先に出来上がりそちらから実食となった。
豚のタンが美味しいこともあったが、器が溶岩で出来ていることが面白かった。次に鍋が沸騰してきたので、しやぶしゃぶの開始である。肉は本当に薄く切られており、鍋に浸けるとすぐに火が通った。鍋の煮汁に浸けて食べると、本当に美味しかった。自宅で国産の豚を使って食べるしゃぶしゃぶより、だいぶ美味しいと感じた。これで鹿児島でのグルメは終わった。鹿児島の黒豚は本当に美味しかった。
鹿児島では、一日乗車券を購入して、市電で移動を繰り返した。市電が走るルートが2系統あり、自分が使うルートを事前に確認しておく必要がある。2日目に行った熊本も市電が走っているが、鹿児島の市電の方が、圧倒的に便数が多かった。別々の2両が同じ駅に停車することも多々あった。
←鹿児島の市電である。写真の車両はちょっと古い形式であるが、ヨーロッパの市電のような斬新なデザインの車両もあった。鹿児島も熊本も乗車料金は、一律170円であった。
鹿児島には初めて来たので、夜の街を知らない。鹿児島では天文館という所が一番の繁華街とネットで書かれていた。その実態を知るために夜の街に散策に出掛けた。天文館にはアーケードがあり、その横の筋は何処も飲食店がひしめいている感じがした。ただ、やはりコロナの影響で廃業した店や、まだ再会していない店も見受けられた。
2日目は、まず鹿児島から熊本への移動である。ホテルをチェックアウトした後、市電で鹿児島中央駅に向かった。時刻が9時を過ぎていたので、市電も空いていた。鹿児島中央駅の新幹線乗場前には、結構大きな土産物屋が沢山あったので見て回った。黒豚、さつまあげ、焼酎等の鹿児島特産のお土産が沢山販売されていた。私は、新幹線の車中とホテルで食べるため、さつまあげを購入した。
事前に購入した10:03鹿児島中央駅発の九州新幹線さくらで出発、約1時間で熊本駅に到着した。駅を降りてまずは市電でホテルに向かった。熊本駅前の市電乗場に行くと、レトロな車両が入って来た。行き先を見ると「教習中」と書かれていた。若い女性の運転手が一人で運転していた。
←熊本市電の教習車両である。たまたま乗車のため駅に行ったらこの車両が来た。レトロな感じの車両にびっくりした。
熊本駅前から市電で「辛島町」まで乗車し、ホテルに向かった。地図でホテルの場所を入念に確認していたので、ホテルにはすんなりと行けた。チェックインしようとしたが、何故か予約が無いと言われ、予約メールを印刷した紙を見たところ、別の東横インのホテルを予約していた。近くに2軒あったので、別の方を予約してしまっていた。
ホテルの方が近隣の地図を下さり、予約しているホテルまでの道案内もしてくれた。丁度、ホテルに向かう路の途中に、昼食を食べる予定の「紅蘭亭」があるので、昼食を食べてからホテルに行こうと思い店に行ってみた。すると12時になっていないのに満席であった。自動の予約機があり入力して荷物をホテルに預けに行った。
丁度、ホテルから戻って来た頃に順番となり入店出来た。席に通され店内を見ると、神戸の中華街の高級店並のお店であった。注文は当然「太平燕(タイピーエン)」だ。この料理を食べるためにここに来た。この時期だけか、アサリなどがトッピングされた物を紹介されたので、その料理を注文した。注文してそんなに時間も待たずに料理が出て来た。
←これが熊本で有名な紅蘭亭の「太平燕(タイピーエン)」である。簡単に言うと長崎チャンポンの麺が、緑豆の春雨で出来ている。
実食…スープは上品なサラッとした中華味であった。通常のチャンポンの麺が、ラーメンではなく緑豆の春雨というのが特徴である。我が家では、テールスープの際、同じように緑豆の春雨を入れて食べている。そのため、そんなに特別変わったアレンジとは思わなかった。しかし、この店のスープとマッチして非常に美味しいと思った。値段も手頃だし、熊本に行かれたらお昼に食べられてみてはと思う。
昼食後の予定は、卸売市場に行って冷凍の馬刺しを購入し、自宅に配送することであった。ネットで調べたところ「田崎市場」という卸売市場の側にある市場があった。業者で無くとも購入出来る店があるので行ってみた。
市電で田崎橋終点まで乗車して、駅から徒歩10分程で到着した。肉屋さんは「肉工房・三協」しか無かったが、ホームページを見ると、目的の馬刺しが販売されていたので、ここで購入出来ることが分かっていた。店に到着し店内を見渡すと、馬刺しらしき陳列が見当たらない。店員さんに聞いてみたところ、目の前の冷凍された物が馬刺しとの返事であった。
大体、一つ150グラムぐらいになった冷凍の馬刺しが、部位別に販売されていた。私はネットで写真で紹介されていたような、すぐに盛り付けれる形で冷凍されていると思っていたが、肉は自分で解凍して料理することが分かった。店員さんに宅急便出来るのか聞くと、出来るとのことで、自分が欲しいブロックを選択して、スチロール箱に詰めてもらい発送した。
帰宅して分かったことであるが、現地で購入した馬刺しの価格は、ネットで販売されている価格の半額以下であった。この時分かっていれば、もっと沢山買ってマイナス60度の我が屋の冷凍庫に入れていたのであるが…。他に、解凍したらすぐに食べれる馬刺しも販売されていたので、ホテルで焼酎を飲みながら食べるために買って帰った。
次に向かったのは、熊本城である。事前に調べたところ、観光で公営交通機関を使って行ける所は、熊本城と動植物園ぐらいであった。市電で田崎橋から花畑町まで乗車して、徒歩で5分くらい歩くと、土産物屋が沢山ある所に着いた。何も買う気はなく見学しながら熊本城の入口を目指した。
←熊本城の本丸である。地震で潰れた部分が綺麗に修復されて綺麗であった。ただ、兵庫県人は姫路城を知っているので、スケールが小さいと思えた。
暫く歩くと入口が見えて来た。入場の切符売り場で入園券(800円)を購入し入場した。綺麗な順路が整備されていて、その進行方向に歩いて行った。すると本丸に到着…綺麗に修復したのか、立派なお城が目の前に現れた。ただ、今は日本人の観光客が殆どなので、そんなに沢山の人が見に来て居る雰囲気は無かった。
この日の残りの予定は、18:30から割烹「梅鉢」に行って、馬刺しを食べることであった。それまでの時間は、暇潰しイコール1円パチンコである。熊本は、鹿児島よりも繁華街が小さく思えた。それに比例してパチンコ屋も少なかった。しかし、数件あり行って遊んだ。昨日の鹿児島も熊本も相対的に出しておらず、パチンコは赤字に終わった。
ホテルに一旦戻り、身だしなみを整えて梅鉢に向かった。地図で調べていたので迷うことなくお店に到着した。店に入るとカウンタに通された。娘からこのお店を紹介された事など、手短に挨拶を済ませた。カウンタの前でご主人が、宴会されているお客の料理を作られていた。
←右が割烹「梅鉢」のご主人、左が奥さまで、奥さまは私の娘と小,中学校の幼馴染である。
私がこのお店についてネットで調べた結果、先代のご主人の情報しか無く、昨年先代が亡くなられて、今のご主人が継がれたことは知らなかった。会話の中でお話頂き初めて知った。ネットではお品書きの写真が結構掲載されていたので、そこに書かれた料理がメインなのだと思っていた。
しかし、ご主人と会話しているうちに、このお店は、先代から熊本の地元の偉い方にご贔屓にされていて、注文は「おまかせ」が普通であることが分かった。私も特にお品書きの注文をせず、供される料理を頂いた。その中でまず出されたのが、魚の刺身の盛り合わせであった。クエ、アカムツ、大間のマグロ…どれも最高級のネタであった。ご主人は東京で修行され、築地の店を良くご存じなので、必要なネタは、築地からも仕入れているとのことであった。そんなことする店があるとは思っておらず、びっくり…。
実食…何とも言葉を出す気にもならない美味しさであった。こんな本物を出してくれる店に行ったことが無かった。私は釣り師なので、単品の魚であれば最高の物を食べるが、色んな美味しい魚を一度に食べることは出来ないので感動であった。次は、お願いしていた「馬刺し」である。ご主人の人脈で、この日は純国産の馬肉が仕入れれたとの事で、供されたのは見事な馬刺しの盛り合わせであった。そして、その中には馬の生レバーもあった。
口に入れると、生のねっとり感があり、ジワッと馬肉の味が滲み出て来た。霜降りは更に口の中で脂がとろけて出て、今までに体験したことのない美味しさであった。生肝は、牛よりコリッとしていた。通常の熊本で食べれる馬肉は、カナダから輸入した仔馬を阿蘇周辺で育てた馬の肉が殆どである。今回のように純国産は普通では食べられない。本当に記憶に残る物を食べさせて頂いた。
娘の幼馴染の奥さんが、仕事が終わって店に挨拶に来てくれた。私は、神戸でお会いしたことが無かったが、娘の事や小学校の時にハンドベルをやっておられたので、嫁さんの事も良く知っており、話が長々と続いた。チラッと時計を見ると22時を過ぎていた。最後に締めの素麺を食べさせて頂きホテルに戻った。
たまたまであるが、人と人との繋がりは、思わぬところで幸運を引き起こすことがある事を、今回しみじみと知らされた。娘の幼馴染が、このお店に嫁いでいなければ、このお店に来ることも無く、こんなに上等な料理も食べることは無かったと思うと、本当に今回の縁は、奇跡だったのだと思った。「梅鉢」さん、美味しい料理、ありがとうございました。
※料理に感動してしまい、料理の写真を撮る事を忘れてました。掲載したかったです。ごめんなさい。
もし、熊本に行かれた際、美味しい物が食べたいなら、割烹「梅鉢」に是非行ってみて下さい。
住所:熊本市中央区船場町下1-12-3 電話(096)356-2535 ※事前予約要
3日目は、熊本から博多への移動である。ホテルをチェックアウトして水道町から市電で熊本駅を目指した。ホテルのある辺りは商業施設も多いためか、9時を過ぎているのに市電には沢山のお客さんが乗車していた。そのお客さんは、次の駅と県庁前で殆ど降車された。
熊本駅に到着し駅の構内を見渡すと、結構広いお土産売り場があった。昼になれば、食事も出来る施設が結構あった。熊本では昨日馬刺しを宅急便しているので、別の土産を買って帰る予定は無かった。熊本で有名な馬肉店の「菅乃屋」も出店していて、値段を見たら驚きの価格であった。昨日、田崎市場まで買いに行ったのは正解であった。
10:21のさくらに乗車して博多を目指した。乗車券を予約する時に知ったのであるが、博多=熊本間は、乗車料金が安く設定されていた。11時に博多に到着。先にホテルに荷物を預けるか、ひょうたん寿司に直行して並ぶか迷ったのであるが、開店前に並んだ方が、早く入店出来ると思い、ひょうたん寿司に直行した。11:10頃であったが、既に店内の階段には行列が出来ており、最後部に並んだ。
←博多で知らない方は居ないと言われている「ひょうたん寿司」である。ビルの2階と3階が店舗になっており、階段や多い時は店外にも行列が出来るほどの人気がある。確かに一度食べると、値段とクオリティから、また行きたくなる店である。
開店は11:30で、私が待っている間にも、何人もの方が来られて並ばれた。そして11:30に開店。私は知らなかったのであるが、2階に待合室があるらしく、まずはそこで待たれている方から、店内に通された。店は2階と3階となっており、一人なのか複数のグループなのかで、座る場所を指示されていた。そして私の順番になり2階のカウンタに通された。早く並んだ甲斐があり、開店と同時に入れた。
注文したのは、ネットで調べて食べたいと思っていた「本日の特選ネタづくし」である。通常3,800円が、2,850円と書かれていた。生ビールも注文したのであるが、グラスが冷え過ぎていて、部分的にビールが凍って出て来た。まず出て来たのは、平目、トロ、真鯛、アジであった。早速実食…まずは平目から、確かにネタの鮮度が抜群であった。その他のネタも抜群の鮮度で、ひとくちアワビのおどりは、軍艦の上でアワビが動いていた。一通りのコースが終わったので、悔いを残さないため、生さばとふぐを追加注文した。供されたサバは、ゴマサバであった。生サバの握りを食べたのは初めてで、本当に美味しいと思った。
この店の寿司を食べることが、博多での一番の目的であった。なお、近くのソラリアステージ地下2階に、ひょうたん寿司の回転寿司店がある。ここは、11:00開店で、やはり行列必至の人気店である。(翌日はこの店に行った)この日の夜は、九州の方に教えてもらった「黒豚しゃぶしゃぶ」に行く予定にしていた。
ホテルにチェックインした後、中州のその店を確認しに行ってみた。すると定休日でも無さそうなのに、店が閉まっているようであった。つまり店を止めているようであった。その後は、夕方まで時間があるので、天神のパチンコ屋で暇潰しである。1円パチンコで遊んでいるのであるが、何と200円で大当たり、13連チャンして6000円儲かった。鹿児島と熊本で負けた分以上にプラスに転じた。
夕食前は、中州でのお遊びを予定していた。店に電話して予約を取ろうとしたら、その店は名前が変わっていた。しかし、同業の店で、前の店の娘も居るということで予約した。相手は、22歳の小柄な娘で、楽しい時間を過ごすことが出来た。北海道も良いが九州も中々と思った。
博多の2日目は雨の天気予報となっていた。そのため2日目の昼に食べに行く予定であった「長浜ラーメン」を、夕食として食べに行くことにした。中州から長浜までそこそこの距離があるが、博多も3回目であり携帯もあるので歩いて行った。25分ほど歩いて長浜港の近くにある「元祖長浜屋」に到着した。夜であったためか、誰も並んで居なかった。
←長浜で有名なラーメン店「元祖長浜屋」である。この店の「肉」の塩味が、強過ぎるという印象が、自分の中で残り続けた。ラーメンの好みは、人それぞれなので、有名であるということは、一般的には美味しいということになる。
外の券売機で、ラーメンとビールのチケットを購入して店に入った。そこでビックリしたのが、店員さんが全て東南アジア系の方であった事である。普通、有名なラーメン屋では、リーダー的な日本人スタッフが店を仕切っているが、この店は全員が外国人であった。こんなラーメン屋は初めてであった。
テーブルに座り、麺の硬さ「普通」脂の量「少なめ」ネギの量「多め」で注文すると、3分ほどでラーメンが出て来た。実食…スープは思ったよりも薄味でサッパリしていた。ちよっと…と思ったのが「肉」であり、薄切りなのに食べたら塩味を結構濃く感じた。食べ終わった私の感想は、「そんなに美味しいと思わなかった」である。前回、祇園近くで食べた「ナンバーワン」という店の方が美味しかった。
博多でもう一つ食べて帰りたかったのが「焼き鳥」であった。下調べしていなかったので、ホテル近くの焼き鳥専門店に飛び込んでみた。一人であったので、予約なしでも入店出来た。何を食べたかったと言うと、テレビで良く紹介されていた「豚バラ」である。テレビでも何故焼き鳥屋で、豚バラの串が出るのかということについて議論されていた。
注文すると暫くして「豚バラです」と、串が乗った皿が出された。この店だけなのか、肉と肉の間には、タマネギが一片刺されていた。いざ実食…脂が乗っていて思っていたより美味しかった。この店のレバーは、生っぽい状態でこれも美味しかった。ただ皮は、余りにもパリパリで、美味しいとは思わなかった。博多では、皮はグルグルと巻いた串と聞いていたが、この店の皮は普通に刺した物であった。
焼き鳥?を食べた後は、中州の飲み屋を観察に行った。コロナの制限も無くなっているので、沢山の方が飲みに来ていた。川沿いの屋台も大盛況で、外で待っている店もあった。やっと昔のあるべき姿に戻りつつあることが伺えた。これで今回の旅行の目的は、全て完了することが出来た。特に鹿児島と熊本には、初めて行ったので全てが新鮮で、良い想い出を作ることが出来た。
←春吉橋から見た中州である。川縁には屋台が並び賑わっていた。やっと、コロナ前の賑わいを取り戻しつつあるように思えた。
翌日は、不要な荷物を宅急便してチェックアウトし、11:10ぐらいに、ひょうたん寿司の回転寿司の店に行ってみた。11:00から営業しており、店内は既に満席で6人並んでいた。時間があったので待っていると20分ぐらいでカウンタに通された。ここでは昨日の店と違いセット物のメニューは無く、食べたい寿司を、注文票に記載して板前さんに渡して注文するルールになっていた。
旅行の最後の食事となるので、食べたい寿司を注文した。特に昨日美味しいと思った「生さば」、昨日の店には無かった「生のアナゴ」など、お気に入りのネタを注文して、納得するだけ食べた。ケンミンショーで、福岡の寿司はレベルが高いと言っていたが、それは本当であった。また、値段もネタの割には、リーズナブルだと思えた。(詳しくは、ひょうたん寿司で調べて下さい)
ただ、北海道には北海道の良さもあるので一概に言えないが、関西の人の好む白身や青物の鮮度の良い物が、ここ博多では堪能出来ることが良く分かった。もつ鍋や水炊きも美味しいが、博多に行ったら寿司屋に行って、関西では余り食べることの出来ないネタを、食べて見ることをお薦めしたい。
天神から博多駅まで、時間があったので徒歩で向かった。実は、途中にある「たべごろ百旬館」という、何となく業者相手のようなスーパーに行くためであった。ここで販売されている魚は、素晴らしい物が結構安く購入出来る。前回、博多に来た時に、たまたま店に入って発見したのであるが、そのレベルの高さに感動した。前回もここで刺身を買って帰りホテルで食べたところ、本当に鮮度も良く美味しかった。お店で食べるより、はるかに安くついた。
この日、色々と美味しそうな魚があったのであるが、クエとヤイトガツオの短冊と明太子を買って帰った。保冷袋もお願いすると用意してくれて、何の問題も無く、その日の夕食のおかずにすることが出来た。興味がある方は是非行ってみてはと思う。その先には昔からある「柳橋筋商店街」があり、ここで売られている物は良いことがわかるが、聞かないと値段が分からないのが難点であるし、対面販売なので、値段を高く吹っ掛けられるかも知れないのがちょっと気になる。
スーパーを出て博多駅に着くまでの間、すれ違う人の半分ぐらいは東南アジア系の若者であった。特に駅に近づくと10人、20人のグループで移動していた。日本語学校が駅近くにあるのかなあ?と思う程の人数であった。博多発13:38発ののぞみに乗車し、定刻に新幹線が動き出した。これで楽しかった九州とはお別れである。2時間ちょっとで出発地の神戸に戻って来た。
今回の九州旅行は、沢山の良い想い出が出来て良かった。次回は北海道の旅を予定している。北海道は32年連続で旅しているので、今まで行ったことの無い地域に行こうと思っている。ただ、車の運転が出来ないので、鉄道かバスで行けるところは限定される。帰ったら旅行の事を報告するので、興味ある方は見て下さい。