夏場は暑いので釣行の予定は入れていない。そのため前回の釣行から約一ヶ月が過ぎた。前回の鳥取のシロイカは、本当に良く釣れた。何回かくじけずに釣行すると、大漁出来る日に巡り合える。今回は、毎年恒例の「秋の真鯛狙い」である。明石海峡で秋に釣れる鯛は「もみじ鯛」と呼ばれ、一年で一番美味しい。しかし、今年は西田船頭によると、真鯛が非常に少なく釣れないと嘆いていた。
←岩屋の旧フェリー乗り場跡から観光船が出るようになったようだ。今までは、翼港から明石海峡大橋周辺まで来て居るのを見たことがあった。
前々日に船頭に連絡した際、余りにも真鯛も鬼アジも状況が悪いようで、浅イチの良い潮に、真鯛か中マアジ(30cm級)狙いか、鬼アジ狙いに行くか、当日の朝までに決めて来てくれとのことであった。そのことをメンバに伝え、各自の希望を当日の朝に聞くこととなった。
この日は、帰りに仮屋漁港に頼んでいた海エビ(ウマヅラ用)を取りに行くため、岩屋港から出船することになった。5時出船ということで、M氏の家に4時頃行き、M氏の大きな車に乗り換えて岩屋港を目指した。M氏の家は須磨なので、高速に乗って明石海峡大橋を渡り、岩屋港まで20分程であった。
4:30頃に到着したのであるが、他の2人のメンバは既に到着しており、5人全員が揃った。そこで朝イチの狙いについて確認した。その結果、多数決で「鬼アジ」に決まった。4:45頃に船頭が来て、鬼アジに行ってと言うと、「スカやったら何にも釣れへんで…」と言われ、皆さんの気持ちが変わり、真鯛と中アジ狙いに変更になった。この変更が「想定外の爆釣」に繋がるのであった。
出船前に釣り座を決めるくじ引きをした結果、何と私が「一番」になった。不思議と西田釣船での釣り座は、一番か二番を引くことが多い。引くと言っても最後に残ったくじであり、私の選択ではない。(残り福という感じ)西田釣船は、トモが潮先になるので、左舷のトモに座った。
朝イチは、真鯛か中アジか狙いたい魚の仕掛けを準備した。私は真鯛のため、胴突き5本鈎の仕掛けをセットした。中アジを釣りたい方は、サビキをセットされていた。準備が出来たところで出船、時計を見ると5時になっていた。ポイントは港から5分程の近場であった。
この日のタックルは、竿:ダイワ極鋭真鯛360、リール:ダイワ・シーボーグ200、道糸:ソルティガセンサー2号、仕掛けは、自作胴突き5本鈎、オモリは60号を使った。餌は船で用意してくれる活きた川津エビである。この釣りのポイントは、このエビをいかに速く弱らせずに「鼻掛け」することである。鼻掛けの慣れ具合で、枝鈎の数を決めることをお薦めする。船頭が「やって」と指示があった時に、すぐに投入出来ることが大切である。投入が遅れるとオマツリの原因にもなるため、欲を出さずに技量に合わせることである。船頭も同じ事を良く言っている。
←これが「鼻掛け」である。仕掛けを上げ下げしても、エビがクルクル回らないように、刺した際に鈎の左右対称になるように刺す。こんな餌を使わせてくれる遊漁船は少なく、滅多に機会が無いので、慣れるまでには時間を要する。わからない時は、船頭に刺し方を、出船前に教えてもらうことである。
緊張の一流し目、潮はまだゆっくりと流れており、魚探に何かわからないがポツポツと反応があった。エビ餌で竿で釣る場合、オモリが着底したらすぐに1mほど底を切って、ゆっくりと巻き上げてアタリを取るようにしている。船頭の手釣りを見ていると、オモリが着底したら、3m程上に上げて止めたままでアタリを取るという動作を繰り返している。
船の前の方から声が聞こえたので振り向くと、中アジを釣り上げていた。真鯛は来るのかな?と思いながら巻き上げていると、フッと穂先に重みを感じた後、勢い良く海中に刺さった。踏ん張ってシャクリを入れて掛けたのであるが、数巻きしたところでバレてしまった…残念…。しかし、この後、爆釣が始まるのであった。
←仕掛けがもつれないように収める箱。私は刺すエビ用の餌箱も自作して用意している。
真鯛の本アタリの前に何回か小さいアタリがあった。仕掛けを上げて見ると5本中3本の餌が取られていた。気を取り直して餌を刺し船頭の合図を待った。そして2流し目、巻き上げ途中にいきなり穂先が海中に刺さった。今度も思いっ切りアワセを入れると、今度は確実に鈎掛りしたようだ。岩屋沖の真鯛は、魚体の大きさから考えられないぐらいの引きをする。釣り上げた真鯛の尾びれの大きさを見れば、引きが強いことを納得させられる。
途中、ドラグから糸を引き出されること数回、慎重に上げると40cmクラスのベッビンさんが玉網に収まった。次の流し、またまた穂先が海中に…、合わせると凄い引きである。メジロかなと思うが、顔を振る仕草が伝わって来る。何回もドラグから糸を出した犯人は、何と真鯛のトリプルであった。しかも一番大きい真鯛は、50cmほどの良型。これで今日のおかずがゲット出来てホッとした。
投入すると毎流しアタリがあり、真鯛の入れ食い状態となった。私はほぼ外れが無い状態で真鯛を釣り続けた。5,6流しした頃から潮が速くなって来た。しかし、魚探を見るとポイントの上に魚影が出ていた。普通は潮が余り速いと食わなくなるのであるが、投入すると食って来た。船頭が潮が速くなったので、場所を移動しようと思っていたのであるが、釣れ続けるのであった。但し、潮が速くなると、ハマチやメジロの釣れる割合が高くなった。
暫くすると、やはり限界の速さとなったため、少し離れたポイントに移動した。この時点で真鯛を2桁釣っていた。船頭に聞いたところ、3mの磯が流しの途中にあるらしい。投入してオモリが着底したため、すぐに底を切ろうとしたところ根掛り…。オモリが切れた時、隣の青物男に真鯛がヒット。このポイントは釣れないと思っていたのであるが、この日は何かが違っていた。私は、根掛りした時に根の高さが分かり、次の投入からは、根掛りせずに釣れまくるのであった。
次の流し、先程根掛りした時に、丁度穂先の位置で道糸の色の境目であったので、底まで落さず、その1m程上から巻き上げを開始するようにした。すると穂先に変化があれば、それは全て魚からのアタリであった。何かモタレてきたなあと思っていると、その後に穂先が海中へ…、今日はこのパターンの繰り返しであった。一生懸命頑張っても、釣れない日は釣れないのに、釣れる日は、本当に簡単に釣れてしまうのであった。このポイントでは、メジロやハマチもエビの餌に食って来た。一回、強い引きなのでメジロかと思ったら、またまた真鯛の3連であった。また、35cmはある良型のイサギが、このポイントで2匹釣れた。
隣の青物男と2人で、船の後ろの生簀が真鯛で一杯になってきた。2つ目のポイントも潮が速くなって来たので、本日の本命ポイントに移動した。しかし、海は本当に分からないもので、釣れると思ったポイントなのに、一時間ぐらい粘ったが、真鯛が一匹釣れただけであった。仕方なく、鬼アジ狙いの潮まで暫く陸に上がって休憩することにした。
オモリが大きいし水深もあるため、釣れない時間に釣りをするのはしんどい。今日のメンバは、その事を良く知っているので休憩することに反論はない。桟橋に船を掛けた時、メンバが桟橋の下に大きいウマヅラが居ると言った。そっと海中を覗くと30cmはあるウマヅラがゆっくりと泳いでいた。船から捨てられるエサに付いたのだと思う。
一時間ほど休憩して、10時に再出船した。本日の最後のチャンスとなる「鬼アジ」狙いである。ポイントは、岩屋港から15分程走った瀬戸と呼ばれる明石海峡の中央辺りであった。これから潮が止まるまでと、逆の潮が速くなるまでがチャンスタイムである。ポイントに到着すると、すぐにやって良しの指示が出た。皆さんサビキ、あじカブラ、オキアミのエサ刺しと好みの釣り方で攻めた。
一流し目、DAISUKEさんにヒット。上がって来たのは少し小さ目の「鬼アジ」であった。そして二流し目は隣の青物男にヒット、途中から引かなくなったので、バレたのかと思っていたらこれもチョッと小さ目の鬼アジが上がって来た。三流し目は、私にヒットした。掛った時はハマチ並に引いたので、ちょっとマシと思っていたら47cmある鬼アジであった。
その直後、急にフワッとなって道糸が途中から切れた。サワラかフグに着られたと思われる。残り時間も少ないので、用意して来ていた別のタックルに切り替えて釣りを続行した。するとまたまた鬼アジのアタリが来た。鈎掛りした瞬間から予想以上に暴れた。強く引き込まれた時に、スプールをフリーにして引きに耐えたが、途中で口切れしてバレた。仕方なく一度巻き上げようと電動のスイッチを入れても、モータは回っているのにスプールが回らなくなった。手でハンドルを回してもスプールは回らなかった。このリール初めての故障である。
道糸が切られたタックルを再セッティングし直して釣り再開した。しかし、逆の潮が流れ出したのに、誰にも何も当らず、西田船頭が「アカンなあ、終わろか」の一声で沖上がりとなった。皆さん魚が釣れているので、何も言わずに道具を片付けた。港に戻ったところで、BOXに海水を張り氷を入れて準備した後、イケスの魚を絞めて冷水で冷やした。
西田さんは、もう歳なので魚は私が絞めて、神経抜きが必要な型の魚だけ神経を抜いてもらった。絞めるのはいいのであるが、幾つ絞めても終わりが無い状況が続いた。やっと全て終わった時には、私は汗ダクの状況であった。暫くして魚が冷えた所で魚を並べて、恒例の釣果写真を撮った。
釣っている最中も、今日は良く釣れていると思っていたが、絞め終わって並べてビックリ、真鯛の数が半端では無かった。帰宅して写真を印刷して数えると、真鯛46匹、中・鬼アジ11匹、イサギ4匹、メジロとハマチ少々(ある程度船に置いて帰った)という誤算と言いたいぐらいの大漁となった。
←私の釣果は、真鯛19匹、鬼アジ1匹、イサギ3匹、メジロとハマチ4匹(置いて帰った)であった。この時期としては、自己記録であった。
船頭の朝のお言葉に反し、想定外の大漁になるとは、夢にも思っていなかった。こんな事があるので、自然相手の釣りは止められない。反対の事も多々あるが、結果を予測出来ないところが、何とも言えない博打的な期待があり面白い。
但し、良い日に当っても、タックルや餌の選択など、その日の完璧な準備をして行かなければ大漁は出来ない。大漁するためには、経験と研究を重ねて、当日に最高な準備を考えて予想して持って行けるという事が、私の経験上の結論である。
今回の釣行では、真鯛が2,3匹と、鬼アジが1匹でも釣れてくれたら良いのになあ…というのが期待であった。しかし、期待に反して朝イチから真鯛が入れ食いになったのは、本当に驚いた。この日釣ったポイントは、6月に全く釣れなかった場所である。潮もほぼ同じパターンの日であった。西田船頭も、この日こんなに真鯛が釣れるとは思っていなかったらしい。新しい真鯛の群れが来たと言っていた。
←海峡筋で釣れた「鬼アジ(47cm)」。西田船頭の話によると、ちょっと前までは、浜値で一匹3,000円ほどであったが、需要があるのか、このところ8,000円ほどで取引されているとのことであった。一匹釣れば、船代ゲットである。
釣りが終わった後は、仮屋漁港に頼んでいた川津エビを引き取りに行った。車で岩屋から15分程で港に到着したが、誰が手配してくれている会社の方か分からなかったので、作業していた若い女性に訪ねると、その会社の方まで連れて行ってくれた。漁協で働いている方は、見た目に怖そうな方も居るが、親切な方が多い。
川津エビを受け取った後、M氏の家経由で帰宅した。30Lのクーラーは、真鯛とイサギで満タンであった。毛糸先生が自宅まで送ってくれるのであるが、マンションの入口から自宅内まで運ぶのは重くて大変であった。夕食には、8000円の鬼アジをカルパッチョにして食べた。盛り付けしている時に分かっていたのであるが、脂の乗りは抜群で、値段の価値が分かるような気がした。
イサギも炙りにしたのであるが、撒き餌もしていない地域で、これだけ肥えていて脂が乗っているイサギは、明石海峡以外ではお目に掛かれないと思う。鬼アジもイサギも、明石海峡で釣りが出来て、ゲットした者にしか味わうことは出来ない最高の食材である。食べた感想は、何も言いたくない…である。
次回は、一泊二日の大人の遠足…広島のウマヅラ狙いの予定である。7月に行った際も良く釣れた。今回も2日間で100匹以上釣ることを目標にしている。その釣りのために、今回は仮屋まで行ってエサとなる川津エビを買って来たのであった。