今年2回目の広島遠征である。以前から船頭さんに「夏季のイサギとウマヅラに一度来てみて下さい」と誘われていた。この時期に釣れるウマヅラは、40cmぐらいの良型でキモパンらしい。何故キモパンかと言えば、イサギ釣りのために、アミエビを沢山撒くため、その撒き餌を食べて肥えているとのことであった。
←安芸津と大崎上島を結ぶフェリー。瀬戸内海では、沢山のフェリーが今も健在である。
この船のイサギ釣りは、吹き流し釣りである。和歌山県の印南辺りでは、昔から定着した釣り方であり、昨年、一度釣行したことがある。また、私が千葉に単身赴任していたころに関東の釣友の誘いで、房総半島の洲崎辺りのイサギ釣りに連れて行ってもらったこともあり、何回かは経験がある。しかし、瀬戸内で天秤吹き流しの釣りはやったことが無い。
しかも、瀬戸内海で良型のイサギが大漁…、ちょっと想像が出来ないので体験してみるしかない。事前に船頭さんに電話し、最適なタックルについて確認してメンバに伝えた。竿は、ゲームロッドの8:2調子ぐらいが良い、タチウオ竿でも良いとの事であった。リールは、広島では浅い場所でも電動リールが定番となっており、楽なので電動を薦められた。道糸は、PE1.5号を巻いた物が最適、天秤とカゴとバッテリーは船で用意してくれるとのことであった。
この日は、佐田岬近くのポイントに行くため、朝4時出船ということであった。今回は2台の車で行くことになったので、キムチを買うことも予定して、小谷SAを3時に出発出来るように落合うことになった。我々の車は、かなり余裕を持って、F氏の家を23時に出発することとなり、私の家に22時頃に来て頂き出発となった。
前日の夕方に電話があり、風があるため佐田岬のポイントには行くことが出来ないので、4:30出船との連絡が入ったが、4時であろうと4:30であろうと、遅れないように行けば良い。出発は、変更せずに予定通りとした。道中は、盆休みの雰囲気が全く見られず、車も少なく順調に走ることが出来た。途中吉備のSAでトイレ休憩したら、車を誘導する警備員は居るのであるが、トラックの数は少なく空いているスペースが沢山あった。
1:40頃に小谷SAに到着、早速目当てのキムチを買いに行った。すると、「ユさんのキムチ」は全て完売。商品棚や特設の場所にも商品は1個も残っていない状態であった。これは大誤算…楽しみにしていたキムチが買えなかった。毛糸先生は、キムチが匂うので、専用のクーラーまで用意して来ていたのに残念であった。
2台が落合い皆さん揃ったところで、釣り座の抽選を実施した。私は車を運転出来ないので、キャビン横の狭い釣り座に決めていたので、後の4人でくじ引きで決めた。その後、3:10頃に出発し、高屋JTCで山陽道を降り呉道を走った。途中、下三永福本ICで降りて国道32号を南下し、安芸津駅前のセブンイレブンで食糧を調達して乗船場に3:45頃に到着した。既に小池船頭が出船の準備をされていた。
車から荷物を下ろして船まで運んだ。船頭から左舷5席が我々の釣り座と指示され、くじ引きで決まった釣り座に荷物を下した。そして準備してもらっていたウミエビを受取ってメンバーに渡した。全員揃い準備が出来た4:20頃に出船、青島を目指した。行程は、1時間30分ぐらい掛かるとのことであった。
我々は、船の後部でエサ切りを開始。1kgのエビを切るのには30分以上かかった。船は、途中中島付近を通過して南西方向に舵を取った。そして6時前に青島辺りに到着した。後で地図で確認したところ、小水無瀬島だと思う。到着して皆さんタックルの準備を開始、暫くして投入の指示が出た。
この日のタックルは、ウマヅラのカゴ釣りには最適なことが分かった竿:剣崎30-270MT、リール:ステファーノ200、道糸:PE8本撚り1号、穂先に道糸が絡むのを防止するため、先糸としてフロロの4号を2mぐらい付けた。仕掛けは幹糸4号、ハリス3号、鈎:がまかつのカワハギ王7号(ナノスムースコート)の胴突き6本鈎仕掛けで、ドンブリカゴ25号を使った。エサは川津エビの胴の部分を鈎一杯の大きさにカットして刺した。
←ポイント移動の時の船のスピードは半端ではない。
一投目、指示する棚で待っていると、何やらアタリが出たが、どう考えてもウマヅラのアタリでは無さそうである。合わせると鈎に掛った…上がって来たのはオセンであった。再び仕掛けを下ろすと、またまたオセンが。しかし、隣のF氏はウマヅラを2匹ゲットされた。全体的に釣れないので船はポイントを移動した。
次のポイントは、恐らく大水無瀬島付近だと思った。ここで朝の入れ食いが始まるのであった。船頭から指示された棚で待っていると、ウマヅラ独特のモヤっとしたモタレたようなアタリが出て、すかさず合わせると鈎に乗った。コンコンコン…と顔を振る仕草が伝わって来た。上がって来たのは30cmぐらいのウマヅラであった。
それから潮が止まるまでの間、入れ食いが続きビシバシと合わせを入れるとバンバン掛かるような状況となった。昨年の自己新記録を出した時のウマヅラと違い、型が良く平均30cmぐらいで、最大は35cmぐらいのジャンボまで混じった。そのためか、鈎がウマヅラの口を貫通出来ないことが多く、途中でバレてしまうことも多発した。
しかし、これだけの型のウマヅラが連発する釣場は他にはない。30cmクラスのウマヅラを掛けた時の感触は、本当にたまらない快感ある。船が用意してくれている緑のバケツが、瞬く間にウマヅラで一杯になった。ウマヅラが弱ってしまう前に〆なくてはならない。途中、船が上り直すタイミングに、さっさと〆てハラワタを抜いた。
潮が止まると一旦食わなくなったが、暫くすると潮が流れ出し食いが良くなってきた。私は仕掛けについて、ロングハリスとショートハリスの2種類作って準備している。この日は、ショートハリスを使ったのであるが、このことがアタリを良く捉えれたと思った。ロングハリスを使っていた釣友は、アタリがわかり難いと言っていた。スレていない魚を狙う時は、ショートハリスの方が穂先にアタリが出易いので、ショートハリス仕様をお薦めする。
この日は、天気予報によると、早朝から南の風が7m位吹く予報になっていた。そのため、波が出ることを覚悟していたが、予報に反して帰る前まで穏やかな状況が続いた。2箇所目のポイントも食わなくなり、船は暫く走って由利島に到着した。周辺には、沢山の釣船やプレージャーボートが見受けられた。この時点で30匹ほどのウマヅラを釣っており、型が良いので30Lのクーラーがほぼ一杯になっていた。
←鉄腕ダッシュ島(由利島)南端の灯台。私はテレビを余り見ないので知らないが、2つの島が続いており、その島の間の砂浜にトロッコの線路のような物が今も残っていた。
船頭は魚探でポイントを確認して投入の指示を出した。この日の棚は、どこのポイントでも10~20m位が多かった。昨年もこの由利島周辺のポイントでは、ハナダイが良く釣れた。この日もここのポイントに来てから、ウマヅラかハナダイが釣れるという状況になった。但し、この日釣れるハナダイは、去年と違って型が良く平均25~30cmもあったので、リリースせずに持ち帰った。このポイントに来た時に、クーラーは満タンになってしまった。船頭に伝えると、船頭のクーラーに入れておくように指示された。
ハナダイは掛けてから取り込むまで、目茶目茶強い引き込みをする。少し掛りが悪いと、この引き込まれた時に鈎が外れる。30cmとなると、本当にウマヅラどころではない突っ込みをしてくれる。釣るのは面白いが、何と言っても本命はウマヅラである。このポイントでは、ウマヅラとハナダイが共存しているように思えた。
この日は、青島に行けなかったので、最後にこのポイントでイサギを釣る予定にしていた。しかし、午後になって予報の南風が強くなって波も出て来たし、もう皆さんたくさん釣れていたので、イサギはやらずに沖上がりすることにした。そして、波も更に高くなって来た14:30に沖上がりとなった。楽しい釣りをしていると、4:20に出船し14:30までの時間が、本当に一瞬で過ぎたような気分であった。
帰りも高速艇であるが1時間20分掛って安芸津の港に戻って来た。港に戻ると2号艇が居た。どうも風が強い予報だったので、出船しなかったのだろうと思ったのだが、やはり事実そのようであった。港に着くと恒例の釣果写真撮影が始まった。船頭は、クーラーから魚を全て出して並べていた。その結果、ウマヅラは45匹釣っていたことが分かった。
←私の釣果である。ウマヅラ45匹(1匹放流)とハナダイ10匹、イサギ1匹であった。クーラーの蓋が締まらなかったので、メンバにお裾分けした。
この日、他のメンバーは、数か少し伸び悩んでいる感じがしていた。私もこの日は良く途中でバラしていたが、皆さんも同様であった。この日は、予定していた佐田岬のポイントに行けなかったが、行けていたらもっと凄い結果になったのではないかと思った。
こんな夏の時期でも、広島ではこんなにウマヅラが釣れるのである。初めて知った事実であった。一番初めにこの船でウマヅラに行ったのが、確か9月20日ぐらいであった記憶がある。明石海峡では、10月後半ぐらいからが季節である。同じ瀬戸内海なのに違いがあるのも不思議な気がする。
次回は、11月の連休に1泊して2日間の釣行を予定している。今の時期にこれだけ釣れてしまうと、本命の釣期である11月は、これ以上釣れて当たり前と勝手に思い込んでしまう。釣りは、行ってみなければ釣れるか釣れないかはわからない。良い日に当たって欲しいと、いつも願っているのである。
宿泊で行く時は、一日目の夜は宴会である。普通の釣行では考えられないが、船頭がセッティングしてくれる。船頭さんの学生時代の後輩が営む居酒屋で、魚持ち込みの宴会である。食べたい自分の釣った魚を持って行くと料理してくれる。当たり前であるが、宴会では、釣りの話しかまず出ない。終わりまで延々と続くのも皆さんの経験があるからである。この宴会も広島遠征の楽しみである。
←神戸チームの釣果である。左からO氏17匹、毛糸先生25匹、私45匹、DAISUKEさん20匹、F氏25匹という夏場のウマヅラとしては、好釣果となった。数は少なくても、今回釣れたウマヅラの型が良かったので、皆さん納得の釣行となった。
帰りも渋滞もなく帰れたのであるが、一瞬ヒヤリ…ということが起きた。福山西ぐらいで追い越し車線を走っていたところ、後ろからパトカーが走って来た。気が付いて左車線に寄ると、パトカーが追い抜いて左車線に入り、我々の車の前で一瞬車上の赤ランプを点滅させ、パトカー後部の文字盤に「スピード出し過ぎ注意」と表示させた。「ああ…捕まった…」と思いパトカーに着いて行った。しかし、パトカーは我々の車を停止させる仕草も無く、何か変だと思っていたら、警告だけだったことに気づいた。一旦高速を降りることとなったので、一般道を通って高速に入り直した。
釣行時に警察に捕まるのは、本当に辛いことである。折角の楽しい気分が台無しになってしまう。しかし、ルールはルールであり、守らなければ世の中が狂ってしまう。今回は警告で済んだが、注意しなくてはならない。
5月24日から、ほぼ毎週釣りに出掛けていた。良い釣りが多かったが、期待外れの時もあった。これが自然を相手にする遊びである。一旦今年の前半の釣行も、今回で終わりとする。ちょっと休憩して、後半は、10月の明石海峡の釣りからスタートを予定している。美味しい魚を狙って、この秋から冬にかけて頑張るつもりである。