9月にウマヅラ…初めての体験である。大阪湾では、寒くなると深場に落ちる前に磯に集結するウマヅラを狙うのであるが、広島では夏でも釣れるようだ。しかも、広島の方は「夏の方がウマヅラの身は美味しい」と言っていた。そのことも自分で確かめてみたかった。この度は、美咲丸で知り合ったH氏の誘いで、安芸津港の「晴光丸(せいこうまる)」に乗船してのウマヅラ釣りに行くことになった。神戸から毛糸先生とおにぎり男と3人で参加した。
←左舷の6人のうち、竿が「がま船・うまづらはき3.3m」が5人…、使い方をマスター出来れば、一番釣果を出すことが出来る専用竿だ。
地図であらかじめ最短で行くための道を調べた。その結果、山陽道の高屋JCで降りて、呉道から国道32号を走ると一番距離が短いようであった。廿日市の釣船に行くよりも、片道で約30分短く行けることが予想された。
釣行日は決まっているので、気になるのが天候である。このところ、毎週のように台風が日本列島に上陸していた。釣行の寸前も台風16号の動きが気になっていた。一週間ぐらい前の予報では、22日の時点では、丁度広島を通過するぐらいであった。そして釣行日が近づくにつれ、予想は次第に早く通過する予報に変わっていった。
実際には、台風が近畿を20日に通過して行った。今回、釣行出来るかという事が気になるのは当然であるが、もう一つ気になることがあった。それは餌の川津エビの準備のことであった。H氏の連絡によると、この釣船は、前以て連絡しておくと、活きた川津エビを用意してもらえるということであった。釣行数日前に直接船頭さんに電話してみたところ、完璧な量ではないが、何とか用意してくれることになった。
AM1時前に「もうすぐ到着する」との電話があり、荷物をマンションの1階まで運んだ。すぐに車が到着して荷物を積込み出発、おにぎり男の家に迎えに行き1:30に神戸を出発した。今回の経路は高速代が最小で、時間が掛らず山陽道に入れる効率的な道を走ろうということで、阪神高速→姫路バイパスを経て姫路西から山陽道に乗ることにした。
道中停滞も無く、スムーズに山陽道に入ることが出来た。そして途中2回休憩して、4:30頃に安芸津駅近くのセブンイレブンに到着した。やはり廿日市に行くより30分は短縮されている。その日の食糧を調達して駐車場に向かった。ホームページに地図が詳しく書かれていたし、周辺地図を印刷していたので、間違いも無く5時前に到着することが出来た。
到着して暫くすると、顔を見たことが無かったのでわからなかったのであるが、船頭さんが氷を詰めたクーラーを持って駐車場に到着した。既に何人かのお客が来ており、挨拶されていたので船頭だと確認出来た。すぐに挨拶すると、エサの川津エビの購入について指示され、えび漕ぎの船頭さんから1000円で、エビの入った籠1つ渡された。各自、籠のエビを船のバケツに入れて船に積み込んだ。川津エビは、大きさが丁度良く、1000円にしては、思っていたよりたくさんあった。
この日の釣り座は、左舷に5人並ばせてもらった。一番ミヨシは地元の方が座り、2番目に私、3番目に毛糸先生、4番目にH氏、5番目にH氏のお友達、そしてトモにおにぎり男が座った。皆さん集合時刻に揃っていたので、船は5:25に安芸津港を出港した。出港してすぐにエサ切りを始めた。30分ほどで小さいタッパー一杯になったので、残りの川津エビはビニール袋に入れてクーラーに保管した。
この日の天候は、予報に反して「雨雨雨」…、遠くの景色も見えない程、しっかりと降っていた。そして1時間程走って最初のポイントに到着した。恐らく中島の付近と思われる。「15メートルです」というアナウンスが出て釣り開始、今年初めてのウマヅラなので一匹釣るまでは緊張した。しっかりとした雨が降るほどなので、空は薄暗く穂先が非常に見辛かった。
この日のタックルは、竿:がま船・うまづらはぎ3.3m、リール:ステファーノ200、道糸:PE12本撚り1号、穂先に道糸が絡むのを防止するため、先糸としてフロロの4号を4mぐらい付ける。仕掛けは幹糸4号、ハリス3号、鈎:がまかつのカワハギ王7号の胴突き6本鈎仕掛け。エサは川津エビの胴の部分を鈎一杯の大きさにカットして刺す。このウマヅラ釣りにおいては、エサの大きさと刺し方が、釣れるか釣れないかのターニングポイントとなる。毎回仕掛けを上げる度に、しっかりとチェックしてウマヅラが食いに来たら掛るようにしておくことだ。
ひと流し目、アタリかと思って合わせると何と根掛り…、隣の毛糸先生を見ると同時に根掛り。初めて乗船する船で、指示された棚で持って根掛りとは…、とりあえず、根掛りは困るので指示棚より2m上で持つようにすると、根掛りはしなくなった。
雨は相変わらず良く降っていて、大粒の雨が穂先に当たるとアタリと間違える程であった。3流しめから撒き餌が効いて来たのか魚影が出て来たようだ。するとウマヅラ独特のアタリが出て上手く鈎に乗った。今年第一号のウマヅラは、広島にしては小さい25cmほどであった。型はどうであれ、初の一匹は嬉しかった。
その後も同じポイントを流し続け、大型1匹と中5匹をゲット出来た。どうしても撒き餌をすると、一時は食いが立つが、必ずと言っていい程、すぐに食わなくなる。そうなれば、ポイントを移動するしかない。船は次のポイントに移動した。実は、仕掛けを下さなかったが、初めのポイントに行く道中に状況を確認した場所であった。
別の遊漁船が既にポイントに入っていた。その近くから攻めると撒き餌をしているようで、映りのある所に仕掛けが入るといきなり食って来た。仕掛けを張って穂先をにらんでいると「ジワッ~と」海藻が引っかかったように穂先が下がる。これこそがウマヅラの標準的なアタリである。待つことなくここで鋭くシャクリを入れて合わせる。すると上手く掛った。コンコンコンと顔を振る仕草が伝わってきたら、間違いなくウマヅラである。
鈎に掛ったとは言え、ウマヅラの歯の内側と外の皮に掛ったのでは、釣り上げれる確率が大きく変わる。このウマヅラ釣りで面白いのが、皮に掛った魚をテクニックで取り込めれるところである。一日の釣果の内、どれだけ皮に掛った魚を取り込めれるかで釣果に差が出る。皮に掛った魚を取り込むためのロッドコントロールと、取り込みは玉網で掬うことが不可欠である。昔、魚がたくさん居た時は簡単に釣れたと思うが、現在の状況は変わって釣り辛くなっていることを意識する必要がある。
2箇所目のポイントで10匹程ゲット出来た。ここも食わなくなり、その後は移動を繰り返すも映りが出ず、いつも広島から出船して釣りに行く周防大島周辺のポイントまで走った。しかし、良い映りは出ず入ろうと思っていたポイントには、我々も乗船することもある友香丸が先に入っていた。船は、過去に友香丸で入った島の先端の前のポイントに移動した。
ここに来て映りがあるらしく、確かにすぐにウマヅラが釣れた。「魚探の映りは真っ赤」とのアナウンスが出たが、その魚影の正体は、小アジとイワシであった。仕掛けを下す時点から小アジが掛ったりして、ウマヅラ狙いには専念出来る状態では無かった。確かに近くにはウマヅラも居るようであったが、そんなに釣れることは無かった。次にまたまた遠距離移動となり、中島近くのポイントに移動するもアタリは無かった。時刻も13時を過ぎていた。この時点で約20匹であった。
色々と実績のあったポイントをを流してくれるが、何が悪いのか魚影は無く時間だけ過ぎて行った。そしてこの日最後となるポイントに移動してきた。初めは撒き餌にも反応が出なかったようであるが、途中から反応が出だして、暫くすると入れ食い状態となった。潮も緩いので、ずっと連続して投入出来る状況であった。また、何よりここで釣れるウマヅラのサイズがほぼ全て広島サイズ(30cm以上)であった。
毛糸先生と、「ここでやっと広島の釣りが出来ましたね」と言葉を交わした。投入→棚合わせ→アタリ→掛け合わせ→取り込み…と一連の動作を繰り返すだけとなった。暫くすると別の遊漁船がポイントに入ってきたが、あちらの船は皆さん籠を付けて短竿のタックルであった。こちらの船は、エサ釣りの専用タックルである。申し訳ないが、我々が釣る所を見ているだけの状態であった。
延長タイムに入っていることは意識していたが、釣れている最中に「齋藤さん延長しても帰りは大丈夫ですか…」と言ってくれ、心の中では「こんなに釣れている最中に帰られたら船頭を恨む…」と思いつつ、メンバーに確認して「延長OKです」と答えた。そして16:00まで釣らせてもらえた。
16:00に沖上がりとなり、タックルを片付けて最後に釣ったウマヅラの腹ワタを除去した。この日のウマヅラは、今の時期としては、そこそこ肝も入っていた。一度この日釣ったウマヅラをクーラーから全て出して計数しながらクーラーに戻した。その結果、ウマヅラ34匹、ハナ鯛1匹、メバル1匹という釣果であった。毛糸先生は21匹、おにぎり男は13匹という結果に終わった。
帰りは結構北風が吹いていて、帰港するまでに少し時間を要し17:20頃に到着した。港に戻った後、船頭さんとウマヅラ釣りについて色々と話をした。何より我々のウマヅラ釣りを見られて、釣る確率に驚かれていたようであった。最後に私の作った仕掛けをプレゼントし、次回また来ることを約束して帰路についた。
私が感じた晴光丸についての感想であるが、一番良かったのは「活きた川津エビを用意してもらえる」ことであった。この船の側には、エビ漕ぎの船がたくさん居て、捕獲した川津エビを譲ってもらえるようであった。また、氷も乗船前にたくさんもらうことが出来た。ポイントもたくさん知っておられるようであるが、今の所、ウマヅラを釣るための知識が十分でないことを、ご本人もおっしゃっていた。
船は新造船で非常に設備も良かったが、関西の釣船と比べて設備で必須と思ったのが、各釣り座で海水が出るような設備を付けて欲しい。美咲丸さんでは付いていた。明石海峡周辺では、海水の出ない船の方が少ないと思う。白身の魚は出来れば帰るまで、生簀で活かしておきたいというのが、関西では当たり前の意識である。それと、キャビン横の釣り座が狭いとメンバから報告があった。今更船の形状を変更は出来ないが、クーラーに座って船縁までが近過ぎると、ちょっと窮屈である。
この釣船は魅力が多い。神戸から近い・釣れる・型が良いし、ネックとなるエサの用意までしてもらえるとなると、また行くしかないと思っている。10月は美咲丸と友香丸に乗船することが決まっているが、その後の出船予定と、メンバの日程が合えば是非とも行きたい。
延長して頂けた分、帰宅も遅くなり21:30頃に神戸に戻った。帰ってすぐに煮付けと刺身を作って食べた。肝も思っていたより入っていて、共に美味しかった。腹ワタを除去した状態で、広島サイズの重量がどれぐらいか測ってみた。すると450グラムだったので、大体大型は1匹500グラムぐらいあることがわかった。広島では、これぐらいの型が揃う。釣行一回あたり50匹釣りたい。
来週は、西田釣船の鯛釣りを予定している。7月3日が悪天候により中止になったのが悔しい。実は明日、連チャンで今年初のアオリイカに行くことにしている。昨年は全く釣れず行かなかったが、今年は絶好調である。美味しい獲物が続く…秋から冬にかけては楽しいことばかりである。