2014年10月4日 西田釣船の真鯛③

潮流

昨年からウマヅラのエサとして欠かせない川津エビが不漁である。不漁なのか獲りに行って無いのか知らないが、魚の棚の店先に出回らなかったことは事実だ。そのため昨年は、西田のおっさんに頼んで漁師仲間から譲ってもらった。今年は前回乗船した時に、今年の分を確保するため、9月から10月ぐらいに10kgほど頼んでいた。エビを引き取りに行くだけではアホらしいので、秋も鯛が釣れるのか聞いたら「釣れる」ということで、10月4日に釣行することになった。

←若潮でも流れ出すとこのようになる。

釣行が決まってから、活けエビをエサにしての釣りが出来そうな釣友に誘いを入れたが、結局、私、毛糸先生、O段氏の3人で行くことになった。2週間前に釣行日は決まっているが、その日の天気はその日にならなければわからない。今回も台風18号が発生していたが、幸いにも当日は影響を受けることがなかった。しかし、近くを通ることが予想されていたため、避難港の明石港には、金曜ぐらいから早々と船を置きに来ていたらしい。そのため、乗船場が確保出来ないので、出船は垂水港にしようということになった。

垂水港の駐車場は朝5時に開くので、それより早く行ってもゲート前で待ちとなる。朝は道が混んでいないと想定し、毛糸先生が4:30に迎いに来てくださり出発した。停滞も無く20分程で垂水港に到着した。まだ5時になっていなかったので、ゲート前の道路には何台もゲートのオープンを待つ車が並んでいた。私は垂水港に来たのがかなり久しぶりなるのだが、知らぬ間に「まるは釣具」が無くなっていた。

道中、O段さんから電話があり、もう既にゲート前に並んでいるということであった。5時に駐車場がオープンし並んでいた車が順番に入り、我々も入口近くに駐車した。そして道具を担いで漁協南側の岸壁まで歩いた。桟橋に着けると言っていたが、暗くて何処かわからなかった。暫くすると夜がふけてきて視界が広がるとその意味がわかった。約束時間の5:15頃に西田のおっさんが迎いに来てくれ、やはりその桟橋に船を横付けした。我々はその桟橋を渡り乗船した。

ポイントは通称「瀬戸」と呼ばれる明石海峡の中央付近である。垂水港から10分ほどの場所だ。乗船してすぐに釣り座の抽選を行った。その結果、私が「1番」を引いたのでトモに座った。毛糸先生は左舷、O段さんは右舷に座った。各自すぐに支度に掛り、ポイント到着までに準備を完了した。ポイントに到着した直後、西田さんは魚探を見て「ようけ映っとる」と嬉しい発言があった。更に念入りに魚探を見ながらどの筋を流すのかチェックしていた。そして筋を決めたのか、潮上に走って「ほんならやってみよかぁ」と指示が出て釣り開始となった。

この日の潮は、朝に上りの潮が少し残り、その後は引き潮となることが予想された。西田さんの話によると、鯛が釣れるのは引き潮が強くなってきてからということであった。たくさん映っているということで、気合を入れてのひと流し目はアタリなし。そして2流し目、魚が結構上に浮いているということで、私は底から5m切って持っていた。するとコンコンと小さいアタリが出たので仕掛けを少し張ると穂先に重みが乗った。そして鈎掛りさせるためシャクリを入れると鈎に乗った。

べっぴんさん

明石海峡の鯛は、特に肥えてくる秋に引きが強くなる。6月頃のものとは違い、ガンガン顔を振って突っ込みを繰り返す。ボーズになりたくないので、あしらいがどうしても慎重になってしまった。途中何回も腰を上げて突っ込みを堪えることがあった。そして鯛が水面に…、5mも底を切っていたのに、4本鈎の一番上に食っていた。40cm超えぐらいのベッピンさんであった。鈎を外す時に魚体を持つと、かなり肉厚になっており重量感があった。

次の流し、前の流しと同じような当たりが出たので合わせたところ、この鯛はドラグまで効かして糸を出す程の突っ込みをした。引きが強いので、「これは50cmくらいある」と思った。こんな引きをする鯛をあしらっている最中は、過去にたくさん鯛を釣ってきている経験があっても、ハラハラドキドキの連続である。だいぶ時間が掛ったと思うが、やはり50cm程のベッピンさんが上がった。この鯛も良く肥えていた。

7時ぐらいに引き潮に変わった。潮が緩い間に期待したが、思っていたようなアタリは無く、速くなるまで狙ったが結果は出なかった。どうしようも無いぐらいまで潮が速くなったので、別のポイントに移動した。この時点で私は3枚、毛糸先生も3枚、O段さんはゼロ。次のポイントには、漁師らしき船が2隻釣っていた。このポイントでは、まず毛糸先生が大物を掛けた。引きからして青物が掛ったのかと思って見ていると、やはり上がったのは丸々と太ったメジロであった。そして数流し後、また毛糸先生に同じようなメジロが釣れた。西田さんが、この辺りのメジロは、活けアジより活けエビの方が良く食うと言っていた。

暫く釣ってみたものの、鯛が釣れなかったので西田さんは朝のポイントに向かった。ちょっと早いが今日の本命の時間である。この潮の速い状況では、オモリを60号しなければ釣れないとの西田さんのアドバイスがあり、皆さんオモリを頂いて付け替えた。ひと流し目、確かにオモリ重くすることにより、底が取りやすくなった。オモリが重いとアタリが取りにくくなるかと思ったが、意外と良くわかり私は一流し目から鯛をゲットすることが出来た。

私は、その後もアタリが良くわかり毎流しヒットさせることが出来て数を増やしていった。その中での一回は、いきなり竿を引き込むようなアタリで、やはり50cmほどの鯛が釣れた。どの鯛も本当に良く引くので、毎回鈎が外れないかハラハラドキドキの釣りが続いた。他のメンバは何が悪いのか、エサを噛まれたり食いちぎられたりしていたが、なかなか鈎に乗らず苦戦していた。

釣れていた潮が11:30頃に急に緩くなり、鯛のアタリも遠のいてしまった。仕方なく西田さんにお願いして、カサゴ釣りに行ってもらった。潮が濁っていたので、深場は食いが悪いと見て、岩屋沖周辺で釣らせてくれた。しかし、釣り荒れているのか、良い型のカサゴは釣れなかった。すると型が小さいので瀬戸に出てみようということで、深場を攻めてみた。ひと流し目に型の良いガシラがヒット、続くのかと思ったが濁りのせいか、そんなに食いは良くなかった。鯛を結構たくさん釣っていたので、13時に沖上がりとした。

神経抜き

一旦岩屋港に入り、頼んでいたエビを受け取ったのであるが、台風の影響で昨日はエビを捕りに行けなかったため、1kgほどしか入手出来なかった。残りは後日連絡して取りに行くことになった。その後、恒例の絞めと神経抜きをやってもらった。この神経絞めをすると、刺身にした際のモチモチ感が本当に長い時間続く。西田さんは神経抜きを一発で決めるが、私は今回、前回から暫く時間が経っていたので、コツを忘れてしまい、何回かチャレンジしたものの、一回しか成功しなかった。帰って再度練習することにした。この日の鯛は、平均35cmぐらいの型であったが、殆どの鯛が肥えていて美味しそうであった。ビックリしたのがメジロ、本当に丸々としていた。

← 一匹は神経抜きに成功したのであるが…

絞めた魚は、垂水港に着くまで冷やして垂水港で分配した。3人であったし、総数が結構釣れていたので均等割りにした。私は鯛を10匹、毛糸先生は、鯛6匹とメジロ3匹、O段さんは何が悪かったのか、アタリはあったもののボーズに終わった。西田さんが鯛を2匹くださったので、鯛を一人6匹ずつ持ち帰ることが出来た。思っていたより良い結果となった。

釣果

帰りの車中、O段さん釣果について、帰って家族にどのように説明したのだろうかという話題になった。1,2匹ならボーズになったのだが、他のメンバーが寄付してくれたと言えるだろうが、鯛6匹とメジロ1本持ち帰ってボーズだったと言えたのだろうか。その話を帰って嫁さんに言ったら、ヘラヘラ笑いながら「釣れなかったとは言われへんわなぁ~」と言っていた。

帰ってすぐに一匹刺身にしてみた。料理する段階で包丁に着く脂が多いと感じていたが、刺身を醤油に着けた瞬間、醤油の表面に白い脂がフワッと広がった。口に入れて噛むと、身に味が凄くあって非常に美味しかった。夏は、数と大きさは良いのだが、味はやはり秋の方が良いことは確かである。我々が冬に鳴門に行く理由は、明石では釣れないし美味しいことを知っているからである。

西田釣船は、本当に鯛を釣らせることが上手な船である。そのため、プレージャーボートや明石周辺の鯛の乗合船が後を着けてきて腹が立つと言っていた。なお、西田さん本人が言っていたのだが、「わしの船に乗っても、普通の腕の人ではそんなに釣れへん。やっぱりそこそこ腕のある人が来んとなぁ」ということである。私が釣行した際は、たくさん釣っている写真を掲載しているが、これはメンバの技術が高いのが理由である。一般の方が行かれても、こんなに釣れることはあまりないと言っていた。

10月、一年で美味しい魚が良く釣れる月である。今月は、アオリに一回とウマヅラの練習に行きたいと思っている。何となく、今年は河合釣船でウマヅラが良く釣れそうな予感がする。近くなので、釣れれば嬉しいが…。しかし今年は大雨に噴火に台風と自然災害が続く、特に何故か土日に起こるのが悔しい。