2011年4月9日 中鹿丸の夜メバル①

3月11日に発生した東日本大震災からほぼ一ヶ月が経とうとしている。私の住む神戸も16年前に大震災が発生し、多数の方が亡くなった。こんな酷いことは、私が死ぬまで二度と起こらないと思っていたが、更に大きなスケールで起こってしまった。 今回の震災では、地震ではなく津波により亡くなられた方が大半と報道で知った。テレビで何回も津波のシーンを見たが、日頃のシケの波とは違い「海面が盛り上がる」とは聞いていたものの、本物を見て自然の恐ろしさをまざまざと思い知らされた。

自分も震災を経験したので、震災に遭われた方には申し訳ない気がするが、国民皆が自粛ムードになってしまい、釣り人も釣船に乗らないようになれば、今度は釣船が倒れてしまう。そんなことをやっていると、スパイラル現象で日本の経済がダメになる。だから私は釣りに行くことにした。

8日、土曜の夕方は天気が良いとの天気予報を見て予約した。その時点で3人とのことであった。このところ、お客さんが無かったので、直近の出船情報は無く状況は掴めない。ただ、毎年のことなのだが、昼のメバル釣りの釣果か悪くなってくると、夜の釣果が良くなるという傾向がある。

出船

9日、16:30頃に乗船場に到着すると、6,7人ほどのお客が既に来ていた。天気もいいし、みなさん釣りに行きたかったのだろう。17:00になったところで予約順に乗船指示があり、順次好きな釣り座を決めた。私は右舷のミヨシから2番目に陣取った。17:30出船、明石海峡を渡り淡路島東浦を目指した。そして20分ほどでポイントに到着した。

この日のタックルは、先日、阪田釣具で購入した「瀬戸内メバルスペシャル495」にPEジリオンをセット。夜釣りのため、穂先と仕掛けの上にはケミホタルミニを装着した。前回の釣りでは、メバルがまともに釣れなかったので、この竿の調子がわからなかった。今回、是非ともたくさん釣って、調子を把握したかった。

到着してすぐに仕掛をセットし、鉤にエサのシラサエビを刺した。夜釣りでもシラサエビをエサにする時期は、原則、昼の繊細な仕掛と同じものを使用する。私の場合は、ハリス1号の7本鉤仕掛を使っている。「やって~え」のアナウンスがあり初流し…、何も無し。続く2,3,4流しも何も無し。船頭は、すぐに近くの別のポイントに移動した。そして記録的大漁が始まった。

釣れた

ポイントが変わってのひと流し目、一番下の鉤に中型が釣れてきた。周りの方も同様に下の方の鉤に一匹釣れている状況であった。そして2流し目、潮先の方の竿がかなり絞り込まれている。すると次に私の竿が絞り込まれた。感覚からして4,5匹着いた感じがする。ゆっくり 巻き上げると、大小混じって5匹の一荷であった。3流し目も同様に釣れたので「今日は50匹は釣れるかも…」と思った直後、潮がサッと流れて何も食わなくなった。

これでもう終わりかと思ったが、その次の流しから、何故か先ほどの釣れていた状況に戻た。投入すれば最低4連ぐらいが続いてイケスはすぐに真っ黒になった。そして暗くなったので船の電灯を灯すと、何とその明りにイカナゴが寄ってきた。船頭は玉網でイカナゴを掬ってくれ、みんなに配ってくれた。エサに丁度良い大きさのイカナゴだ。

イカナゴ

まずは試しに下4本の鉤に刺して投入した。するとオモリが底に着いた途端、キュキュキュ…と穂先が絞り込まれた。上げてみるとイカナゴの鉤4本全てと、シラサエビにも1匹食っていた。イカナゴの方が良く釣れることがわかったので、以後は 7本鉤全てにイカナゴを刺した。するとそれからは、怒涛の入れ食いモートに突入した。

7本鉤で、魚を外しながら掴みにくいイカナゴを鉤に刺す作業は大変である。しかし、それが出来なければ大漁は無い。必死に魚を外しながらイカナゴを刺すを繰り返 した。エサを着け投入し、オモリが着底したら底を切ると、既にメバルが掛かっている。本当に入れ食いだ。一匹掛かるごとに1mほどリールを巻き追い食いを待つと 、どんどん竿が海中に入って行く。たくさん掛かると竿が重たくなってきて、持っている右腕がだるくなってくる。

イケス

パーフェクト(7本鉤全てに釣れること)も3回あり、イケスの中は朝の御堂筋線状態に…。今までにこんな経験はしたことが無い。飲み物も飲む暇が無いぐらいの状況であったが、21:00頃、潮が 急に速くなりピタッと食わなくなったので、予定の時刻より30分ぐらい早いが、良く釣れたこともあり納竿となった。当然皆さん大漁で、ニコニコ状態であった。 この日、乗船出来た人は心に残る一日となったことであろう。

今回は、たくさん釣ることが出来たので、竿の調子を十分に確認することが出来た。カーボンの質が良いので、昼の繊細な釣りには少し硬く感じると思う。但し、夜は 大型が多いので、幾分硬い方が竿の操作がし易いと感じた。また、何より軽いことが一番気に入った。こんな記録的な日に釣った竿なので、一生記憶に残るだろう。5月中頃までの夜釣りにはピッタリの竿である。

港に帰港するまでにメバルを必死でシメた。かなりの数である。とりあえず21リットルのクーラーに入れると、丁度一杯になった。港で記念写真を撮るため、綺麗に並べて数を数えると「101匹」。自分の記録であるが、中鹿丸の夜釣りの記録だと船頭が言っていた。 実質釣れていたのは2時間30分だったので、1時間当たり40匹釣っていたことになる。

大漁して楽しかったのは当然のことであるが、待ち受けていた難題は持って帰ること。私は電車釣師であるため、乗船場→明石駅、六甲道駅→自宅までは徒歩である。メバル満タンのクーラー、タックル、ロッドを担いで歩くのは過酷な任務だ。特に明石駅への道中、国道をまたぐ陸橋を通るのだが、ここが一番辛 かった。助かっているのは駅のエレベータ。最近はどこの駅にも設置されているので非常に有り難い。 明石駅のホームに辿り着いた時は、汗が吹き出ていた。

次の難題は「料理」である。最近はどこの家庭でも、魚の料理が出来る人ははっきり言って居ない。つまり、他人にプレゼントするならば、料理をした物を持って行かなければならない。本日(10日)、朝から目的別配分と料理を実施した。近隣の魚が好きな方へのプレゼント、嫁さんの花見バーベキュー用、私の好物である「一夜干し開き」、天ぷら用に小型の3枚おろし…と昼まで掛かった。しんどかった…。

メバル101匹

釣り人はアホなもんで、こんなに苦しい目に遭うのなら、釣りに行かなければ良いのである。そんなに沢山釣らなければいいのである。しかし、そうはゆかない、「釣りたいんです、沢山」。これは永遠のテーマなのです。