明石海峡周辺では、カサゴはメバル釣りの外道という認識が強い。しかし、今の時期はメバルよりカサゴの方が断然美味しく、専門に狙うと数も釣れる。潮の小さい時は、船頭に交渉して専門に出てもらうようにしている。
今年1回目のカサゴ釣りを2月12日に予定していたが、強い冬型の気圧配置であいにくの悪天候が予想され、11日19:30の天気予報を見て中止を決断した。朝は穏やかだが、9時頃から突風が吹くという予報であった。12日、起床すると無風状態で晴れていた。「ああ…無理しても行ったら良かった」と思ったが、船頭によると10時ぐらいから強い風が吹いてきたと聞いて、行かなくて正解だったことがわかった。天気予報は良くハズレるが、余り悪い予報だと信じる方が報われる。
逆に27日は、数日前の予報では「雨」であったが、時間が経つにつれ「晴れ」に変わった。しかも非常に暖かいとのことであった。朝5:20、支度を済ませて家を出ると確かに寒くなかった。いつものようにJRの一番電車に乗り明石に向かう。この時期は魚がそんなに釣れない時期ではあるが、何か年々電車で釣りに行く人が減っているように思える。10年ぐらい前は、各車両に1人は釣具を持った方が乗っていたが、このところ本当に釣り人を見掛けない。
乗船場に着くと船頭が船の掃除をしていた。中鹿丸は12月から約2ヶ月は出船していなかった。鳥のフンが船べりにこびりついていて、それを洗い流しているようであった。私が到着するとメンバーが揃ったということですぐに出船した。当日は私を含めて客は3人、常連のT氏とワンタッチ釣り師であった。朝、松帆で釣るということなのでポイントは近い 、大慌てで仕度を始め、丁度終わった頃にポイントに到着した。
この日、実験課題が二つあった。①「メタルトップのカワハギ竿」で釣ってみる、②「2丁拳銃釣り」をやってみるである。
①メタルトップのカワハギ竿は、驚くべき感度であるためオモリが底に当る感触が手元まで伝わってくる。この竿でカサゴを釣りをすると磯場を判断し易くなるため、無駄な操作ロスを減らせて、効率良い釣りが出来るか試してみたかった。
②カサゴは底に居るため、メバルのように一荷で5匹も6匹も釣れない。仕掛けも2本鉤なので、釣れても最高2匹である。数を稼ぐためには投入の回数を増やすしかない。そのため2本竿を出せば、1本の倍の釣果が出せると考えたからである。但し、2本竿を出すとなると 、それぞれの腕で竿を持つこととなるため、電動を使わなければリールを巻くことは出来ない。ということで2本とも電動をセットした。
船頭の「やってぇ~」のアナウンスで釣り開始。まずは1本で状況を見てみる。この日の潮は長潮で8時ぐらいが潮止りである。潮の緩い日は流れが複雑で、船頭もポイントに上手く船を当てることが難しいようだ。一流し目は磯に当たらずアタリは無かったが、 2流し目からはコンスタントにカサゴが釣れ出した。
オモリが底についたら即糸フケを取り、50cmほど底を切りゆっくりとオモリを底につけてアタリを待つ。メタルトップの感度は凄い、底が砂なのか磯なのかはっきりとわかった。暫くすると「クククッ」とカサゴのアタリがダイレクトに手元に伝わってくる。慌てることなくスッと竿を立てて、電動のレバーを回す。メバル竿のように柔らかい竿で釣っているとわからないが、カワハギ竿のように硬い竿だと、上げてくる途中にカサゴが元気良く引くしぐさが、竿から手元に伝わってきた。新しい経験であった。
まずまず釣れたので、次に「2丁拳銃釣り」を試してみた。1本は先鋭カワハギ205にシーボーグ150S、もう一本はタチウオテンヤ270にシーボーグ300をセッティングした。そして釣り始めてすぐに、シーボーグ300はクラッチのオンオフが片手で出来ないことに気付いた。 (ハンドルを回さなければオンにならない)そのためオモリが着底したら、カワハギ竿を竿掛けに置いてハンドルを回さなければならなかった。こまめに棚の取り直しが必要な釣りだけに、このリールでは二丁拳銃釣りは無理であった。いずれ、こずかいを貯めてレオプリッツ150を買って再挑戦する。また、この日は完全に潮が止まることが無かったので、数回やったが高い磯に根掛りが連発したため、すぐに一本竿の釣りに戻した。
ワンタッチ釣り師に声を掛けると、今までの勉強の成果が出てコンスタントに釣果を伸ばしている模様である。彼のイケスを見ると、良型のカサゴが水面にぎっしりと浮いていた。この調子だと、目標の50匹は達成するかもしれないと思った。
この日は、長潮にしては潮が思っていたよりも速い流れだったので、9時頃ポイントを移動した。この時点で30匹弱の釣果、まずまずといったところだ。次のポイントは花博会場の前辺りであった。このポイントは高くて2m程の磯がポツポツとあるというアナウンス。早速仕掛けを降ろしアタリを待つと、先程のポイントのように根掛り しないことがわかった。しかもベタ凪の状況なので、もう一本の竿を置き竿にして出してみた。すると船の揺れが丁度良い誘いになるのか、手持ち竿と交互に当ってきて数を伸ばして行 くことが出来た。(左の写真は、魚が掛かって巻き上げ中です)
暫くはポロポロと喰って来たのだが、食いが悪くなったので船頭は深場のポイントに移動した。水深55mぐらいのポイントで、ここもポツポツと2mぐらいの磯があるとのことであった。このポイントでは、釣れるカサゴの型が結構良かった。これだけの深場なので、そんなに釣り荒れていないのであろう。磯っぽい場所に来ると必ずアタリがあり、ダブルも結構あった。 また、サバの切り身をエサにしているのに、各人数匹ずつメバルが釣れた。置き竿にもアタリがよく出て、暖かいこともあったが汗が出るほどの忙しさが続いた。 そして13時に沖上がりとなった。
前回は悪天候で中止になったが、この日は本当に好天で風も無く好釣果にも恵まれ、良い釣りをすることが出来た。結果、カサゴを92匹とメバル2匹であった。ワンタッチ釣り師は、目標を50匹に掲げていたが、惜しくも46匹に終わってしまった。 彼は、船釣りを始めて1年ほどでここまでレベルアップした。ただ、私に出会っていなければ、ここまで成長出来なかっただろう。 釣りは、そこそこの技量があれば、答えを教えてもらえたらすぐに釣れるようになる。その答えを導き出すために何年も掛かるものである。 今後は何故、教えてもらったことで良く釣れるのか、本人の研究結果を聞かせてもらいたい。それが本人のレベルアップのためにもなる。