広島遠征第4回目!またまた広島まで来てしまった。 前回の釣行後、メンバー全員が「行けたらもう1回行こう」と言ったので計画し、12月25日の釣行が決まった。何故ここまで、私達を行く気にさせるのだろうか。
今年、明石海峡周辺ではウマヅラの小型が釣れまくっていたのだが、結局、1回も釣行することは無かった。それは何故か?大型のウマヅラの方が、釣り人にとっても、家族にとっても魅力的であるからだ。
釣り人にとっての魅力…釣るのが難しく、たくさん釣れれば腕を評価することが出来るし、大型は掛け合わせてから取り込みまでのスリルがたまらない。その日の状況にもよるが、掛けても30%ぐらいは途中で口切れして外れてしまう。その口切れは、テクニックにより回避出来ることが楽しさに繋がっている。玉網に大型のウマヅラを取り込んだ時の達成感は、何とも言えないものがある。
家族にとっては、当然「食」の魅力だ。やっぱりウマヅラにしてもカワハギにしても「肝」が一番の目当てである。小型は肝が殆ど入っていないが、大型になると大量の肝が入っている。家族に「大きいのが10匹と小さいのが100匹ならどっちがええ?」とインタビューすると、「大きい方」との回答であった。また、ちょっと経済的なことになるが、明石の魚の棚で魚の価格調査したところ、小型は1匹50~100円程であったが、大型は1匹1000円以上であった。価値からしても大型に軍配は上がる。
今回はいつもの4名ではなく、仕事の都合によりカラス氏が来れないということで、私の会社の後輩であるワンタッチ釣師が参加することとなった。ワンタッチ釣師とは、最近釣りを始めたばかりで知識に乏しく、自分で仕掛を作ることが出来ずに、市販の仕掛をワンタッチで接続して釣りをする釣師のことである。深夜0時30頃、私の家まで迎いにきて頂き、JR六甲道で金魚氏と合流し出発。 道中2回休憩して午前5時頃に乗船場に到着した。結構、北寄りの風か強く吹いていた。
実は前日の夜、天気予報を見ると「季節風が非常に強く吹き、気温がかなり下がる」とのことであったため、船頭に出船するのか確認を取った。すると「島の風裏で釣れるので出船します 」とのことであった。当日の釣り客は7名、 予約はもっと入っていただろうが、天気予報を見てたくさんキャンセルが出たのでは…と地元の客が言っていた。今回は、初めて右舷を指示され、我々4名は右舷に並んだ。6時出船…のはずが、6時を回っても出船する気配が無い。地元の客が船頭に尋ねたところ、潮が引き過ぎていてスクリューが海底に当たるため、もう少し潮が満ちるのを待って下さいとのことであった。
6:20出船。今回は風裏ということで、何処に行くのかは不明。我々は徹夜状態なので、ポイントに着くまでキャビンで仮眠する。7:20頃、エンジンがスローになり一つ目のポイントに到着したことがわか った。各自キャビンから出て準備を開始した。風裏と言いつつも、かなりの強風が吹いていた。しかも本当に寒~い、ちらほらと小雪が舞っていた。
だいたい皆さんの準備が整ったとこで「降ろして…15m」とのアナウンスが出た。一流し目、仕掛けを投入するがアタリは無し。2流し目も何も無し。その周辺の状況を魚探で見ていたが、どうも芳しくないようであった。すると、いつものポイントまで走るので、キャビンに入るよう指示が出た。
ポイントに到着し、船頭はイカリを打った。魚探を見ながらロープの長さを調整し、暫くして「降ろして」の合図が出た。しかし、2,3回の上げ下げの指示があったが、このポイントもアタリは無かった。この時点では、私を含め皆さん絶望感を持ったに違いない。船頭はイカリを上げ、別のポイントに移動した。ここは、過去の釣行で毎回良く釣れたポイントである。小島の南西角で、潮がぶつかっている境目ぐらいがポイントであった。
このポイントは、いつも始めは何も釣れないのだが、暫くすると撒き餌が効いてくるのか釣れ出す。しかし、この風と寒さで釣れる気がしないし、アタリが非常に分かり辛い状況であった。暫くすると左舷の方が釣ったのを確認出来た。釣れることがわかったので気合が入る。まさか、はるばる広島まで来てボーズで帰る訳にはゆかない。また、当日参加していないカラス氏に笑われては情けない…と皆さん思っていたようだ。
強風ではあるが、ウマヅラが居ることがわかると気合が入り、アタリがわかるようになった。強風で穂先が揺らされている中にスッと重みのあるアタリが出て、やっと1匹目をゲットすることができた。これでボーズから脱出だ。その後、不思議とコンスタントにアタリがあり、最悪のコンディションにもかかわらず、私はこのポイントで釣果を2桁に 伸ばすことが出来た。このポイントは撒き餌を効かし過ぎると、一時は入れ食いになるが後が続かない。この日は、撒き餌をする方が少なかったから、食いが長い間持続出来たのかも知れない。
そして、食い気が無くなって来た時、私にクリスマスプレゼントが届いた。アタリがあったので合わせた瞬間、穂先の位置が止まったままになり、竿が大きく弧を描いた。次の瞬間、一気に魚が底に向かって走った。前回の「悪夢の真鯛」があったので真鯛と判断し、リールのフリーレバーを押してスプールを指で押さえた。
シュルルルと一気に10m程走って一旦止まったが、竿を起こすと更に3m程走った。竿を立てて巻き上げに入ると、大きく顔を振る動作が感じ取れ、これはデカイ真鯛と確信出来た。ハリスが3号で20cmなので無理は出来ない。竿を立ててポンピングを繰り返すが、途中、何度も底に走られた。しかし、さすがに5回ほど突っ込みを かわすと徐々に浮いてきた。そして5分ほどのやりとりの末、真鯛が水面に横たわった。デカイ、家で計測すると75cmあった。 これだけの大物にもかかわらず、鉤(カワハギ王7号)は、伸びていなかった。丈夫な鉤である。
その後は全く喰わなくなったので、島影のポイントに移動した。ここでポツリポツリと拾い釣りのような状況が続いたが、そんなに長く釣れ続かなかった。船は移動を繰り返し、本日最後のポイントにやってきた。ここは、過去にアジやサバも釣れたポイントだ。案の定、サバとアジが食ってきた。本命のウマヅラがなかなか喰わなかったが、暫くすると喰い出した。しかも水面下7mまで浮いてきた。ここまでは良かったのだが、びっくりしたのがウマヅラの型が思いっきり小さく明石サイズ。このサイズが5匹ほど釣れた。
そんな状況の中、クリスマスプレゼントがまた届いた。ワンタッチ釣師が竿を大きく曲げた。横から見ていて瞬時にウマヅラではないと判断出来た。彼も必死でやり取りしている。暫くのやりとりの末、上がってきたのは真鯛の50cmクラス。はるばる広島まで来た甲斐があった。その後、食いが止んで13:30沖上がりとなった。本当に寒く、風波が強い一日ではあったが、満足の行く釣果に恵まれ、全員納得することが出来た。私20匹、残る3人も10~16匹ほどであった。
前回、船頭さんに連れて行ってもらった料理屋で、ウマヅラの刺身を造る時に知っておくと便利な料理法を勉強できたので伝授したい。 それは、①持ち帰る際、胴の皮はそのままにしておく。②三枚におろす際は、皮をつけたままにする。③皮を引くと内側にある薄皮も除去することが出来るのだ。 今までまずは硬い外皮を剥いてから三枚におろして更に薄皮を引いていたが、これだと行程が少なくなるし、難しい薄皮引きも簡単に出来る。機会があれば試して欲しい。
帰りの車中、今日は何故、最悪のコンディションの中でこんなに釣れたのかという話題になった。その答えとして、全員が一致したのは「カラス氏が来なかったこと」 という認識であった。この世には、ジンクスというか理由の無い法則のようなことがある。今まで明石で「カラス氏が来ると、その日は釣れない」という事実が多々あり、船頭からも恐れられていた 。実は私もその経験を何回もした一人である。
そんな話で盛り上がっていると、毛糸先生の携帯が鳴った。当然、カラス氏からの電話であった。会話を聞いていると、廿日市の別の釣船は出船を中止していたので、 出船していなかったと思っていたみたいだ。そして金魚氏がコンディションは悪かったが良く釣れたし、大鯛が釣れたことも伝えていた。電話を切った後、何より最悪のコンディションだったのに、釣れていたことがショックだったであろうということが、みなさん共通した認識であった。
今年の遠征は終了。当分、高速道路は1000円のようなので、みなさん来年も何回も行こうということで帰宅された。 京阪神からはちょっと遠いが、それなりの価値がある釣りが出来ることは確かである。